2004年07月21日(水) 19時04分
RSS の企業利用、注目すべき3つの理由(japan.internet.com)
以前、RSS というフォーマットが、電子メールというチャネルと競合していく可能性についてのコラムを弊社サイトに掲載したことがあります(「
RSSはオンラインメッセージングの主流となるか? 」)が、ここ数か月でその可能性はさらに
高まってきている ようです。
「RSS はメールを代替できるのか」という点についてネット上の論考も質/量ともに増大してきました。ここであらためて、RSS の企業利用という観点から、考えをまとめておきたいと思います。
企業にとっての顧客向けメールマガジンというチャネルは、RSS に代替されうる
結論から言えば、このまま RSS をめぐる技術開発が進めば、企業にとっての顧客向けメールマガジンというチャネルは RSS に代替されていくでしょう。
なぜなら RSS がメールに対して、構造的な欠点を埋め、かつ従来の利便性は損なわず、さらに付加価値も提供できる、という関係になっているからです。
以下に、詳しく見てみましょう。
理由1 スパム/プライバシー問題が発生しない
RSS では構造上、スパム/プライバシーのリスクが、メールと比較してきわめて低くなります。
RSS では、メッセージを受け取りたい人が自分のデスクトップアプリケーション上で URL を設定し、その URL に RSS メッセージを定期的に受信しにいくことで最新情報を取得します。そのため、それ以外の RSS メッセージを強制的に受信させられることは原理的にありません。
また情報購読に、受け手の個人情報の授受をまったく伴わないため、プライバシーに関しても最大限に配慮した運用が可能です。
理由2 ユーザーにより高い付加価値を提供できる
プライバシー/スパムのリスクを大きく減らせることに加え、下記の付加価値があります。
・情報収集源の一元的な管理が可能になる
メールでは、あちらこちらの Web サイトに分散して購読情報が蓄積されるため、いちいちサイトを訪れて購読管理(変更/解除など)をしなければなりませんでした。また、それらを手元で簡単に一覧することも不可能です。
RSS では、購読/解除などの手続き、全購読情報の一覧、などが手元で容易に行えます。
・再利用サービスを通じてさらに付加価値を享受できる
RSSは、Web サイト情報の配信のために XML で作られたフォーマットです。再利用が容易なため、RSS 検索エンジン、RSS ポータルなど、さまざまな再利用サービスが登場しています。
エンドユーザーは、「RSS 検索エンジンを利用する」「RSS の収集再配信サービスを利用する」などより高い価値が付加された状態で、発信された情報を二次利用、三次利用することが可能です。
理由3 既存の(メールの)利便性はほぼ損なわれない
メールは、下記のような利便性が広く認められることで、広く受け入れられてきました。
・自分個人に宛てた、または自分が希望した情報が、
・情報発信元が明示された形で、
・基本的には時系列で、
・グラフィカルな情報も含め、
・さらに情報が検索可能な状態で手元に保存される
RSS においても、上記すべてを満たすことが可能です。
一般への普及には条件があるが、徐々に条件も満たされつつある
ここまで述べてきたような点を考慮すると、少なくとも情報収集の用途においては RSS はメールの利便性を上回ります。
あとは、技術に明るくない大多数のインターネット利用者が気軽に利用できるようなアプリケーションさえ登場すれば(OS に標準で組み込まれれば)、RSS の利用は一気に加速するでしょう。
MacOS(OSX 以降)の標準ブラウザである Safari が RSS 読込み機能を搭載したこともあり、残る普及のカギは「Micorosoft の標準環境に搭載されるかどうか」という点に絞られてくるのではないでしょうか。そして、この点についても次世代 Windows OS である「Longhorn」に搭載されるという噂も流れていますし、Micorosoft 社もなんらかの対応は行うと考えて間違いありません。
RSS への対応は、遠い未来の課題ではなく、近い将来の課題なのです。
RSS の企業利用にむけて、情報発信企業がとるべきアプローチは?
では実際に、情報発信を行う企業が対応すべきことはあるのでしょうか?
現時点では、RSS フォーマットは、普及率などのデータさえ整備されていない状態であり、今すぐの導入をおすすめできるものではありません。
ただし、仮に予想通りに RSS の普及が進むようであれば、情報を発信したい企業にとっては「Web/RSS/メール」を組み合わせて、誰に、何を、「どうやって」伝えるのかをより戦略的に構築していくことが必要になってきます。
「担当者個人の力量で」「空いた時間に」「なんとなく情報を寄せ集めて」「流行のライティングテクニックを真似して」というメールマーケティングのスタイルをとっていては、こうした環境の変化には対応できません。
既存顧客とのリレーションを軽視できる企業など存在しないはずです。既存顧客と長期的なリレーションを構築できる「Web/RSS/メール」というそれぞれの媒体を使って、どのようなアプローチを行っていくのか。環境の変化に合わせて、オンラインにおけるメッセージングにきちんとリソースを割いて対応していくことが必要です。
(執筆:阿部樹、監修:塚田耕司)
記事提供:
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