2004年07月21日(水) 14時43分
ヤミ金・おれおれ詐欺がコンビニATM狙う(読売新聞)
コンビニエンスストアの現金自動預け払い機(ATM)が、ヤミ金融業者やおれおれ詐欺グループから犯罪絡みの現金引き出し窓口として狙われている。銀行のATMコーナーに比べ、防犯面に“死角”があり、足がつきにくいとみられているためだ。
24時間利用できる便利さが受けて急増するコンビニATM。しかし、店まかせの防犯体制には限界を指摘する声もあり、警察庁は都道府県警に対し、各店への指導強化を求める方針だ。
「コンビニATMなら銀行より防犯カメラが少なく、ビデオの保存期間も短いから(犯行が)ばれないと思った」
関東近県の多重債務者ら約500人に、高利で金を貸し付け、総額1億円を超す不当な利益を上げていたとして、神奈川県警に6月、出資法違反などの容疑で逮捕された横浜市内のヤミ金業者は、こう供述しているという。業者は、現金を引き出す際、東京都内や神奈川県内の別々のコンビニを使い、同じ店は二度と利用しないという念の入れよう。
また、栃木、新潟県などでおれおれ詐欺を繰り返し、計10人から1000万円以上をだまし取ったとして6月、神奈川県警に詐欺容疑で逮捕された都内の元ヤミ金業者らのグループも、「足がつきにくい」との理由でコンビニATMを使っていた。
都内にある都銀や地銀などは1195店舗(今年3月末、東京銀行協会調べ)。一方、都内でATMを置くコンビニは約4000店にのぼる。
ある大手コンビニ関係者は、「ATM周辺のカメラでは利用者の顔を撮影しているケースが多い。犯人の想像以上に防犯対策は進んでいる」と話す。
しかし、別の関係者は「対策を実施するかどうかは(チェーン店の)オーナーのさじ加減一つ。コストの面で応じてもらえない時もある」と明かす。ビデオの保存期間も銀行に比べて短く、通常は「1週間程度」だという。
実際、あるオーナーは「本部は月数万円で防犯設備を強化できるというが、無駄な金は出せない」「プライバシーの問題もあり、カメラの増設や意図的な角度調整はお客さんに悪い印象を与えかねない」と話す。
警察庁によると、コンビニATMの設置基準は1999年10月に策定され、防犯カメラや緊急通報装置の設置などが盛り込まれた。昨年12月の改正では、各店に防犯指導担当者を置くなどの体制強化が図られたが、基本はあくまで強盗対策に置かれている。
同庁は今後、ATM周辺に設置された防犯ビデオの角度などの再点検をさらに強化するとともに、撮影した画像をより大量に記憶できるハードディスクに取り換えるなど、新たな対策を浸透させていく考えだ。
◆コンビニATM=1999年3月、一部都市銀行がエーエム・ピーエム・ジャパンに設置したのが国内第1号。他の金融機関やコンビニ業界なども参入して急増した。全国約3万8000店のコンビニのうち、半数近くの約1万8000店に設置されている。(読売新聞)
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