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■銀 行
「腹切りレート」。住宅ローンの低金利競争について銀行業界では、こんな言葉が自嘲(じちょう)気味に使われている。小口取引の強化が至上命題となる中、客離れにつながる金利アップを安易にできない苦しい立場を表している。
七月に入り、長期金利上昇に耐えきれなくなったみずほ、三井住友、UFJの大手各行が、五年超の固定型金利を引き上げた。東京三菱は据え置いた。2・9%で横並びだった五年固定金利は、三行と、体力で勝る東京三菱の間で0・3%の差がついた。
ただ、みずほは、金利を当初二年間0・9%に抑える特別キャンペーンを九月まで延長。三井住友も一定の条件を満たすと金利を三年間0・98%に優遇。UFJは十五年以上の長期固定金利が他行より低いことをアピールし、利用者離れを食い止めようと必死だ。
東京三菱も厳しい。今回は競争を仕掛けたものの、「七月は採算を割らないとみて据え置いたが、来月以降は分からない」(同行関係者)と弱音を吐く。UFJとの経営統合で、先行き不透明感が漂ってきた影響が出たようだ。
■住宅業界 『うまみ』薄れて困惑
これまで銀行の低金利競争で恩恵を被ってきたのが売れ行き好調なマンション業界だった。「低金利でローンの支払いは、家賃と同じぐらいに抑えられる」。このセールストークは、三十歳代を中心とした若い世代の購買意欲を刺激した。
しかし、金利上昇でこの文句の説得力は弱まった。焦ったマンション業界団体は、大幅縮小の方向にある住宅金融公庫の直接融資に代わって「長期固定の住宅資金が確保される方策」を打ち出すべきだとの要望書を政府に提出した。
これに対し、政府は住宅金融公庫の「新型住宅ローン」で既に手を打っている。一定期間が過ぎた銀行の住宅ローン債権を住宅金融公庫が買い取り、証券化して投資家に引き受けてもらう。金利上昇下でも逆ざやの危険が減り、長期固定型金利が可能となる仕組みだ。
■国交省 天下り先確保へ静観
新型ローンは昨年十月に始まった。しかし、申請件数は二千二百九十四件(六月末現在)にとどまる。二〇〇三年度の住宅着工戸数百十七万三千戸に比べると、かなり少ない。業界関係者は「公庫が銀行に支払う手数料が、金利よりはるかに安い。銀行は自前のローンより利幅が少ないため積極的に取り扱わない」とみる。
公庫の取り分を少なくして銀行の手数料を増やせば、申請は増えそうにみえる。だが公庫を所管する国土交通省にそうできない事情がある。
国交省の役人にとって重要な天下り先となる公庫は二〇〇六年度に独立行政法人へ移行するが、規模と影響力を維持したいのが国交省の本音。独法化後の中心業務は新型ローンの取り扱いになる。天下り先の収入源を簡単に減らすわけにはいかない状況だ。
独法化後の公庫のあり方は、直接融資を残すかどうかを含め〇五年度中にも議論される。だが国交省住宅局幹部は「今は何も決まっていない。デリケートな問題で不用意に発言できない」と逃げ腰だ。気になる住宅ローン金利の行方は、官民の思惑も絡んだ“不透明な”状態に陥っている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040718/mng_____kakushin000.shtml