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2004年07月16日(金) 09時05分

「トランスウエアの判断は非常に残念」Opera Software ASAのテッツナー氏ITmediaエンタープライズ

 軽快な動作と少ないメモリ使用量で組み込み分野などにも目を向けるOPERA。つい先日は、日本国内の販売権の移管をめぐって若干の混乱が生じたことも記憶に新しい。折りしも日本に来日していたOpera Software ASAのCEOのJon Stephenson von Tetzchner氏に話を聞いた。

—— 今回の来日の目的は?

テッツナー 主に現在のパートナーと、今後パートナーになり得るベンダーに直接お会いして話をさせていただこうと思っています。日本市場は高い技術力を持つベンダーが多く存在し、携帯市場を見れば、世界を先んじているといえます。また、品質に関してもよい意味で非常にハングリー精神があり、非常に興味を持っています。

—— 日本では、DDIポケットがOPERA搭載の携帯端末「AH-K3001V」を発売しました。一方、ACCESSがBREWプラットフォーム上で動くフルブラウザを開発するなど、フルブラウザ化への流れが加速しつつありますが、この動きをどう見ていますか?

テッツナー AH-K3001Vは非常に成功したと聞いています。この動きは当分止まることはないでしょうね。私たちとしても、携帯端末をはじめとする組み込み向けの分野には積極的に取り組んでいくつもりです。

—— OPERAが搭載されるとすれば、NTTドコモ以外、たとえばKDDIが先になるのではと予想しているのですが。

テッツナー どのキャリアから? という一番聞きたいであろうことには答えられませんが、そのために必要な話し合いは常に進めています。NTTドコモがOPERAを採用することはないと思われるかもしれませんが、いずれ可能性はあると思います。

 現在、多くの携帯端末メーカーは同一機種上で、OPERAと他のブラウザ、例えばNetFRONTの比較・検証を行っている段階だと思います。おのずと結論は出てくるのではないでしょうか。

—— 海外に目を向けると、NokiaがMozilla Foundationに対して資金を投入したというニュースがありました。Nokiaは自社の携帯端末、またはSymbian OS上で、Mozillaを動かそうとしているのでしょうか?

テッツナー 資金提供の話は今に始まったことではないと認識しています。数年前にも同社はMozillaを同社のSTB「Mediaterminal」に採用していますしね。少なくとも私は、NokiaがSymbian OS上でMozillaを動かしたがっているという話は聞いたことがありません。

次ページは、テッツナー氏の口から語られる「トランスウエアとの一連の騒動の顛末」

■一連の騒動の顛末

—— 先日、OPERA日本語版の販売権がトランスウエアからライブドアに移りました。しかし、トランスウエアから5月21日に出されたリリースでは、

OPERA国内販売契約の解除

Opera Software ASAとライブドアとの間で独占販売契約が結ばれた旨

の2点について、書面による正式な通知をOpera Software ASAおよびライブドアから受け取っていないとしています。なぜこのようなことが起こってしまったのでしょう?

テッツナー 正直言って、私たちも非常に驚き、かつ困惑しています。そもそも今回の話は、トランスウエア側からOPERA国内販売の解除を解除したい旨の申し入れがあり、そのときにトランスウエアからライブドアを紹介されたのです。その後、3社間で何度も協議しています(関連リンク参照)。ノルウェーにも2社にお越しいただいて話し合いをしたこともあるのです。

 にも関わらず、あのような誤解を招きかねないコメントが出されたことについては、私たちとしても非常に残念に思っています。また、ユーザーの皆さまを混乱させてしまったことにも心が痛みます。

—— 話し合いの過程で何か問題があったのでは?

テッツナー 私たちとしては正式なステップで物事を進めたと考えており、そこに問題があったとは思いません。トランスウエア側には、紳士的に今回の件の真意を聞く努力はしたのですが、結局それを聞くことはできませんでした。とはいえ、今はクリアな形になったと考えています。

—— サポートの面はどうなりますか?

テッツナー トランスウエアからライブドアへの個人情報、およびテクニカルサポートの移行は行われません。「Opera 日本語版」をトランスウエアから購入されている場合、livedoor Operaで再度ユーザー登録を行っていただくことで、ライブドアによるテクニカルサポートの対象となります。

—— テッツナーさんの目にはライブドアはどのように映っていますか?

テッツナー ライブドアについては以前から注目していました。物事の決定までの時間が短い非常にアグレッシブな企業だと思います。現在は、非常に強力なパートナーであると考えています。その意味では、今回ライブドアにOPERA日本語版の国内販売権を移管したことは、非常に満足しています。

■当面の目標は「強力な2番手」

—— 5月の時点では、7月ごろを目処に次のバージョンを予定しているということでしたが、次のバージョンのリリース予定はどうなっていますか?

テッツナー 正確なリリースのタイミングは残念ながらここでは言えませんが、「もう間もなく」と言っておきましょう。すでにご存知のようですが、次のバージョンは「X+V」(XHTMLとVoice XMLを組み合わせたもの)のほかにも、いくつかの機能を盛り込む予定です。

—— 結局のところ、X+Vでユーザーのブラウジングはどう変わるのでしょうか?

テッツナー 私たちは最先端の機能をいち早く実装することに興味を持っていますし、そうすることが私たちのビジネスをうまく進める方法のひとつであると考えています。

 もちろん、X+Vを搭載したからといって、そうしたブラウジング方法に移行してしまうというわけではないでしょう。しかし、X+Vを実装することでOPERAの活躍の場がさらに広がると思います。例えば、ハンディキャップがある方、自動車の運転中など、従来のWebブラウザが想定していない場面での使用ですね。

—— 欧州では欧州委員会がMicrosoftに厳しい裁定を行っています。あそこで問題となったのはWindows Media Playerですが、同様の議論はWebブラウザでも行われるべきだと思いますか?

テッツナー この件についてはコメントしづらい部分もありますが、言えるのは、ユーザーから見た場合、代替品が必要であるということです。ActiveXに対抗する新技術の開発を発表したのも、代替品が必要であると考えている現われです。Microsoftに関しては、W3Cに準拠する努力をするであるとか、OSと分離させた形で提供するなどの方法は検討されて然るべきものではないでしょうか。

—— ここ1年の目標はどこに据えていますか?

テッツナー ポジションとしてはMSのコンペティター、目標としてはとりあえず「強力な2番手」ですね。ブラウザの専門メーカーとして、さまざまなデバイスにフルブラウザを提供したいと思います。

7月22日にはライブドアとの共同記者発表会が予定されている。一連の騒動の説明が行われるとともに、今後の展開についてテッツナー氏から語られることになろうだろう。

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/ (ITmediaエンタープライズ)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040716-00000002-zdn_ep-sci