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2004年07月16日(金) 03時10分

BSE全頭検査見直し、若齢牛除外へ…食品安全委案読売新聞

 BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)対策として、食肉処理されるすべての国産牛を対象にした現在の検査体制のあり方を検証してきた内閣府の食品安全委員会プリオン専門調査会(座長=吉川泰弘・東大教授)は15日、「感染を検出できない若齢牛を検査対象から外しても、人の健康へのリスクに影響しない」とする報告書案をまとめた。

 16日の同調査会で公表される。これを受け、政府は全頭検査を見直し、検査対象を一定月齢以上の牛に限定する方向で検討に入る。

 米国産牛肉の輸入再開を巡る日米協議では、米国が「全頭検査は科学的でない」と主張しており、日本側の見直し方針で、輸入再開に向け、協議が加速するとみられる。

 同調査会は、国内で初めてBSE感染牛が確認された2001年秋以来、検査頭数が約340万頭に達した全頭検査について、世界的にも珍しい生後21か月や23か月の若齢牛の感染例を見つけた点などを評価。

 しかし、現在の検査技術では、病原体である異常プリオンの蓄積が少ない若齢牛については、検査しても感染を発見できないという限界があることを指摘。食肉の安全のためには、異常プリオンが蓄積しやすい脳などの特定危険部位(SRM)の除去が重要で、現行通り全頭からSRMを除去していれば、若齢牛を検査対象から外しても、人が感染牛を食べて発症する新型のクロイツフェルト・ヤコブ病になる危険性が高まることはないと結論付けた。

 現在、BSEの全頭検査を行っているのは日本だけで、欧州のほとんどの国では生後30か月以上を検査対象としている。日本の科学者の間でも「若い牛を検査しても意味がない」として、見直しを求める声が上がっていた。

 一方、米国ではこれまで、神経症状などを示した牛を中心に検査。検査頭数を増やすなどの強化策を打ち出しているが、全頭検査については、「30か月以上を検査対象とするのが国際的な基準」と消極的で、全頭検査と同等の措置を求めてきた日本側との協議は平行線をたどっていた。

 同調査会は、どのくらいの月齢以上の牛なら感染を検出できるかについては、現在の知見では明確に出来ないとしている。今後、農水省や厚生労働省が、検査対象とする月齢の線引きを検討するが、生後20か月から30か月の間になるとみられる。厚労省によると、2003年度に食肉処理された国産牛約111万頭のうち、生後30か月未満が62%を占めている。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040716-00000001-yom-soci