2004年07月15日(木) 17時10分
「イレッサ」服用後に死亡、遺族が賠償求め初提訴(読売新聞)
肺がん治療薬「イレッサ」(一般名・ゲフィチニブ)の服用後に死亡した京都府の男性(当時69歳)の遺族4人が「副作用が原因」として、輸入販売元の「アストラゼネカ」(大阪市北区)と輸入を承認した国に慰謝料など計3300万円の損害賠償を求める訴訟を15日、大阪地裁に起こした。
遺族は「ア社は重い肺障害の発症を予見できたのに、予防策を怠ったうえ、副作用情報を隠して輸入を申請し、国もずさんな審査によって異例のスピードで承認した」と訴えている。
イレッサの副作用を巡り、ア社や国に損害賠償を求める訴訟は初めて。
訴えによると、男性は一昨年3月、肺がんと診断されて翌月入院。抗がん剤の投与や放射線治療で症状が改善し、同7月に退院した。自宅療養中の同9月、医師の勧めでイレッサの服用を開始。副作用の説明はなかったが、5日後に呼吸困難となり、間質性肺炎と診断され、約1か月後に死亡した。
英国で開発されたイレッサは、申請から半年後の同7月に厚生労働省が輸入を承認し、販売が始まった。しかし、その後約1年間に使用したとみられる患者約3万5000人のうち、間質性肺炎や急性肺障害などの副作用報告が698件あり、うち278件が死亡例だった。
副作用の多発で同省は同10月以降、ア社に緊急安全性情報の作成や添付文書の改訂などを指示。同12月と昨年5月には、安全性に関する検討会を開き、使用を専門医に限定することや投与開始から4週間の入院などの対策を決めた。
患者の遺族でつくる「イレッサ薬害被害者の会」(さいたま市)は先月、ア社に賠償金の支払いや謝罪などを申し入れたが、ア社は「法的責任はない」と拒否していた。
提訴後に会見した男性の二男は「会社や国には、患者一人一人の命の大切さを考えてほしい」と話した。
厚生労働省医薬食品局副作用被害対策室の話「訴状を見ていないので、コメントできない」
アストラゼネカの話「提訴は残念。訴状の内容を見ていないので、コメントは差し控えたい」(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040715-00000211-yom-soci