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ソフトウエア最大手の米マイクロソフトが、パソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の使用権を日本のメーカーに許可する際、不当な条件を押しつけていたとして、公正取引委員会は13日、問題の条件を破棄するよう独占禁止法違反(不公正な取引方法)で排除勧告した。同社は応諾せず、裁判の一審に準じる審判に臨む意向を表明した。巨額の課徴金支払いを命じた欧州連合(EU)に続き、日本の独禁当局とも争うことになる。
現在、マイクロソフトは日本のメーカー15社との間で、各社のパソコンにウィンドウズの搭載を認めるライセンス契約を結んでいる。この契約には、ウィンドウズに各社の特許技術が取り込まれている疑いがあっても特許権の侵害を訴えることができない「特許非係争(NAP)条項」が盛り込まれており、公取委は、この条項がメーカーの技術開発の意欲を損ない、市場での公正な競争を阻害しているとして、破棄を求めた。
公取委によると、AV関連技術に強い日本の一部メーカーは、ウィンドウズを通じて自社のAV技術が他社に流用されることを恐れ、NAP条項に強く反発。マイクロソフトに対してウィンドウズが侵害している恐れのある自社の特許リストを提示するなどして、条項の削除や修正を求めたが拒否され、OS市場に占める同社の圧倒的なシェアを前に同意を余儀なくされたという。
同社は8月に更新する契約からNAP条項を削除することにしている。しかし、過去に結ばれた契約の効力は、対象となる同社の技術を使ったパソコンの出荷をやめてから3年後まで及ぶ。過去の条項まで破棄すれば同社がメーカーから訴えられるリスクが一気に高まるため、公取委とは訴訟も辞さず争う構えを見せている。
同社をめぐっては、EU欧州委員会が3月、OSとAV関連ソフトの「抱き合わせ販売」を独禁法違反ととらえて約670億円の課徴金支払いを命じ、これを不服とする同社と裁判で争っている。同委員会はNAP条項についても、同法に触れないか予備調査を進めている。
同社代理人の平野高志弁護士は「メーカーにはNAPに制約されない別のOS購入方法も用意されており、NAPを押しつけたと解釈されたのは心外。審判などを通して公取委に再検討していただく方向で考えている」と話している。(07/13 21:11)