2004年07月13日(火) 14時48分
給食費の滞納増え、差し押さえる自治体も(読売新聞)
各地の公立小中学校で給食費の滞納が増え、学校関係者を悩ませている。不況やリストラなどの経済的理由で「払えない」だけでなく、「払いたくない」と支払いを拒む親も多いという。業を煮やし法的措置に踏み切る自治体も出ている。
「限られた予算の中で献立作りに苦労している」。仙台市のある栄養士は、こう打ち明ける。牛肉は豚肉に、エビフライはサケフライに変え、デザートの回数も減らすなど四苦八苦。同市で給食費を3か月以上滞納しているのは2004年2月で1547件、総額6958万円。滞納分は食材購入費を削って対応せざるをえない。
しかし、督促しても居留守を使ったり、一方的に電話を切ったりする家があり、市教委は生活困窮などの理由がない139件(826万円)について5月末、催告書を送付。応じなければ仙台簡裁に支払い督促の申し立てを行う方針だ。
さらに一歩踏み込み、5月下旬、盛岡簡裁に「財産差し押さえの仮執行宣言」を申し立てたのは岩手県滝沢村。昨年8月末で滞納は189件、計2640万円。3年半で6倍に膨らんだ。学校給食センターで支払いを求めたが、らちが明かず、うち30世帯に「支払い督促を申し立てる」と通告。それでも納付の意思表示がない5世帯が仮執行宣言の対象になった。
東京都あきる野市でも2001年度から2003年度までの滞納額が市立全18小中学校で計約2300万円に上る。東京都葛飾区では2003年度の滞納額が4年前の倍近い約1100万円。滞納者の半数近くが、生活保護や就学援助の対象外の家庭だという。
文部科学省によると、学校給食費は小学校で月3500円—4500円程度、中学校で月3900円—5200円程度。
滞納が増えていることについて、滝沢村学校給食センターの担当者は「かつて児童が給食袋で給食費を払っていたが、今は銀行振り込み。だれが滞納しているかわからないことも一因では」と話す。
あきる野市学校給食課は「いろいろな出費がある中で優先順位が低くなっているようだ」とし、葛飾区の校長は「給食を食べさせないわけにはいかないことを見越し、払わない親もいるようだ」と話している。(読売新聞)
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