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お年寄りが訪問販売で数十万円もする布団や浄水器を売りつけられ、支払い能力以上のクレジットローンを組まされるトラブルが急増している。持ち家に住む年金暮らしのお年寄りは信販会社の審査を通りやすいため、同じ人にいくつもの商品を売りつける「次々販売」のターゲットになっている。年金収入だけではローンが払えず、自己破産の手続きをした、という深刻な例も相次いでいる。
国民生活センターに03年度に寄せられた70歳以上の訪問販売をめぐる被害相談は約4万6000件で、5年前の3倍以上。相談が最も多かった商品は、布団と浄水器。浄水器2台に健康器具など計8点を買わされた例や、「年金月額が6万円なのに、10万円以上のローンを払わされ、生活できない」との訴えなどが寄せられている。
東京都品川区に住む70歳代の女性の場合、3カ月の間に50万円以上する浄水器を3台買わされた。1台目は「水道水を飲むと病気になる」と言われ購入。まもなく同じ営業マンが2台目を持参し、「無料だから安心して」と繰り返したうえ、「折り返し電話が入るのでハイハイと答えて」と誘導したという。
営業マンは翌月もやって来て、「ノルマに届かないので助けて。月々のローンは僕が口座へ振り込みます」と粘った。仕方なく承諾したが、入金されたのは最初だけ。契約書も渡されず、その後営業マンとは連絡が取れなくなったという。
同センターに昨年9月、寄せられた被害相談には「50万円もする浄水器などを2年前、北海道に住む70代の母が訪問販売で買わされ、クレジットローンを組まされた。母はしばらく、支払いを続けていたが、その後、体調を崩して入院。ローンが支払えなくなった。しかたなく、自己破産させた」(北海道に住む50代の娘からの相談)といったものもある。
大手訪販会社の元幹部(43)によると、持ち家のお年寄りはローン審査が通りやすく、ねらいやすいという。信販会社は通常、高齢者の場合は、財産に応じた限度額や完済年齢の基準を設けている。だが、元幹部は「ノルマ達成のキャンペーン中は大手でも審査が甘くなり、明らかにおかしい次々販売でも『ここだけの話』と通ってしまう」と話していた。
国民生活センターによると、03年度に寄せられた訪問販売をめぐる相談約17万件のうち、60歳代が2万3589件、70歳以上が4万6270件と、高齢者が4割以上を占めた。70歳以上の相談のうち、4割近くがクレジットローンを組まされていた。また、60歳以上の相談で、自己破産が報告されたのは95件。これも98年度の3.5倍だった。
〈全国クレジット・サラ金問題対策協議会事務局次長の宇都宮健児弁護士の話〉 お年寄りを狙う次々販売は、ケースによっては詐欺、恐喝罪を適用することができる。被害にあったら周囲にすぐ相談してほしい。被害が増えるのは、信販会社のずさんな審査にも問題がある。
(07/12 16:29)