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2004年07月09日(金) 23時29分

三菱ふそう、また隠蔽 クラッチ系統欠陥をわい小化朝日新聞

 三菱ふそうトラック・バスは9日、三菱自動車製大型車のクラッチハウジングで見つかった亀裂について「3台で『貫通』としたが、うち2台は『破断』していた」と8日の発表を訂正した。発見の経緯も「点検ではなく故障でわかった」と言い直した。状態、発見の経緯ともに、事実を矮小(わいしょう)化させた担当社員の報告をうのみにして公表したとしている。問題の社員はすでに職務を外し、近く処分するという。

 同社によると隠蔽(いんぺい)したのは生産本部品質管理部の部長級社員。実際はクラッチハウジングの周囲約1.5メートルに及び、破断していたのに、「亀裂は最大11センチ」と報告したほか、破断が原因で車が走行不能になったのに「リコール点検中に亀裂を発見」と偽っていた。部長級社員は、破断を「公表したくなかった」と説明したという。

 虚偽報告は8日の発表で、報道側の質問に対する担当部門の答えが二転三転したために同社が調査し、9日未明にわかった。

 破断に至ったケースの一つは、6月2日に都内の首都高速道路上で発生。クラッチハウジングが破断したためにエンジンの回転を後輪に伝えるプロペラシャフトが脱落、燃料タンクを傷つけていた。状況は山口県内で02年、運転手が衝突死した事故と酷似し、極めて危険な状態だった。

 ユーザーからは改めて怒りの声が上がった。

 静岡県の建機レンタル会社の社員は「客に車を提供する立場として見過ごせない。いくら整備しても、メーカーにうそをつかれてはどうにもならない」。問題の欠陥で94年に事故にあった横浜市の運転手(50)は「元社長が起訴されてまで、なぜうそをつくのか。頭を下げる販売会社の従業員も哀れだ。三菱車というだけで乗るのが怖い」と話した。

 企業倫理に詳しい小林俊治・早稲田大学商学部教授は「事件を経ても、改革の意識が社員に浸透していないことが露呈した。三菱という『家』の中の価値観と社会の倫理観とがかけ離れている。経営危機に陥ってもグループが支援してくれるという慢心が社員の危機感を薄めているためではないか」と話した。(07/09 23:16)

http://www.asahi.com/national/update/0709/042.html