悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
ソフトウエア最大手の米マイクロソフト社が、同社製の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の使用権を与えるライセンス契約を日本のパソコンメーカーと結ぶ際に不当な条件を押しつけていたとして、公正取引委員会は独占禁止法違反(不公正な取引方法)で近く同社に排除勧告する。OS市場で9割強を占める同社は米国、欧州連合(EU)など独禁当局と衝突してきたが、同社本社に公取委が勧告をするのは初めて。
同社には日本法人(東京都)があるが、契約当事者の本社が勧告の対象となった。一方、同社は、これを拒否し、裁判の一審に当たる審判に持ち込む見通しだ。
NECやソニーなど日本のメーカー約10社はウィンドウズ搭載パソコンを量産しているが、関係者によると、マイクロソフト社は、ウィンドウズを搭載するというライセンス契約を結ぶ際、ウィンドウズに各メーカーが独自に開発したソフト技術と似た機能が入っている疑いがあっても、特許権侵害を訴えることができない「特許非係争(NAP)条項」を盛り込んでいた。
このため条項に同意したメーカーは、例えば、自社の独自技術が取り込まれたウィンドウズを搭載する他社のパソコンが市場に出回った場合でも対抗手段がとれない状況になっている。特に音楽・映像(AV)再生ソフトの開発で優位な一部メーカーは反発を強めているが、マイクロソフト社が圧倒的シェアを占めていることから同意を余儀なくされているという。
マイクロソフト社はこうした反発を考慮して8月から契約から条項を削除することにした。しかし、すでに契約した最新OS「ウィンドウズXP」などにかかわる条項の効力は、メーカーが搭載パソコンの出荷をやめてから3年後まで及ぶため、公取委は、条項を削除しても特許訴訟が許されない状況が続くと判断。過去の条項の効力をなくすよう勧告するという。
マイクロソフト社は「メーカーとは、ソフトの試作版を提供するなど十分に情報提供したうえで契約しており、押しつけではない」などと主張している。
同社をめぐる独禁法訴訟では、米司法省が01年に和解。EU欧州委員会は3月、約670億円の課徴金支払いを命令したが、同社は決定の無効を求めて欧州司法裁判所に提訴している。
日本では、同社日本法人が98年、応用ソフトの抱き合わせ販売で排除勧告を受けている。
(07/09 15:56)