2004年07月06日(火) 03時03分
三菱車の火災次々…大半は欠陥と無関係?(読売新聞)
全国で三菱車の車両火災が後を絶たない。三菱自動車と、三菱ふそうトラック・バス両社の把握分だけでも、先月15日からの半月で発生件数は10件。うち1件は、リコール届け出を検討している欠陥が出火原因とされる。
しかし、大半は欠陥そのものとは無関係とみられ、三菱側では、「欠陥車は燃える」というイメージの“火消し”に躍起。ユーザーの不信感は根強く、欠陥隠し問題の悪影響はなかなか消えそうにない。
三菱製の大型車を巡っては、先月15日以降、6件の人身事故や車両火災などの重大事故が相次いで発生。三菱ふそうでは、3件あった車両火災のうち2件について、出火原因を調べるために、技術者などで構成する調査チームを派遣した。
このうち、先月15日に長野県飯田市の中央道で発生したトラックの車両火災では、火元となった後輪の車軸周辺部品は、先月、三菱ふそうが公表したばかりの欠陥部品だった。残る1件の出火原因は不明だが、三菱ふそうでは、「欠陥と車両火災の関連性は薄い」と主張する。
一方、三菱自で同社製乗用車を調べたところ、先月22日からだけで、全国で7件の車両火災が発生。このうち6件について、地元の警察や消防などと合同で調査を実施したが、いずれも、欠陥部品からの出火は確認できなかったという。
こうした事実を受けて、三菱両社では「欠陥隠し問題」がもたらしたマイナスイメージの一掃に懸命だ。
国土交通省などのまとめでは、全国の車両火災の発生件数は、2002年で8617件(放火事件も含む)。例年1万件近くが発生している。14社ある国内自動車メーカーで単純に割ると、1社当たりの年間発生件数は600件以上。ある三菱自関係者は「こういう状況下では言いにくいが」と前置きした上で、「三菱車が1日1台燃えていたとしても、統計上はおかしくない」と指摘する。
クラッチ部品や車軸周辺部品のハブなど、これまで明らかになった三菱欠陥車は、その大半が設計ミス。しかし、車両火災の原因は、潤滑油切れなどの整備不良、電気配線や後付け部品装着などの改造といった、ユーザー側に責任があるケースが少なくない、と言われる。
三菱自が調査した先月の車両火災でも、出火原因は特定されていないものの、バッテリーの接続が誤っていたり、電気配線を改造していたケースもあったという。事態の沈静化を図りたい三菱側に対し、国交省も立場上、「三菱車で急に車両火災が相次いでいるわけではない」と擁護する。
しかし、国交省のある幹部は、「もとはと言えば欠陥隠しでユーザーの信頼を失ったことが根底にある。信頼回復のためにも、なぜ欠陥隠しを続けたのか、自らの言葉で説明することが必要」と話している。(読売新聞)
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