2004年07月01日(木) 17時32分
三菱自、訴訟で欠陥認めながらリコールは1年8か月後(読売新聞)
三菱自動車製ワゴン車の事故を巡って2001年9月、札幌地裁に起こされた損害賠償請求訴訟で、同社が部品の欠陥を認めていながら、国交省にリコール(回収、無償交換)を届け出たのは1年8か月後だったことが1日、わかった。
当時、同社のリコール隠し事件が発覚していた時期で、同社の根強い隠ぺい体質がまた一つ明らかになった。
同社製大型車を巡る一連の捜査は同日午後、横浜地検が元社長・河添克彦容疑者(67)らを起訴し、終結に向かう。
訴状などによると、ワゴン車の事故は2000年4月、北海道で発生した。札幌市の男性が「デリカ」を運転中、エンジンの回転を操作する燃料噴射ポンプの制御レバーが破断してアクセルが全開となり、対向車線のトレーラーと衝突した。男性と同乗の妻にけがはなかった。男性らは、ワゴン車の欠陥が原因だとして01年9月、同社などを相手取り、約1500万円の損害賠償を求めて提訴した。
これに対し、同社は01年11月に提出した答弁書で、「部品が通常有する安全性を欠いていた」と制御レバーの欠陥を認めたうえで、賠償額を争った。札幌地裁判決は、同社の「製造物欠陥」と事故との因果関係を認め、計約230万円の支払いを命じた。男性側が控訴したが、03年3月、和解が成立した。
一方、同社がこの制御レバーの欠陥でリコールを届け出たのは、和解成立後の同年7月。既に同じ欠陥で、北海道の事故のほか物損事故1件を含め9件の不具合情報を把握していた。
同社広報部は、リコールまで2年近くかかったことについて「欠陥が生じた詳しい原因の特定と、部品の供給態勢づくりに時間がかかった」としている。
裁判で男性側の代理人を務めた村松弘康弁護士は「裁判で欠陥を認めながら、リコールまでそんなに時間がかかっていたとは思わなかった。その体質が今日の問題の根源だと思う」と話している。(読売新聞)
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