2004年06月30日(水) 17時06分
「日本の通信事業者はサービスの豊かさで世界を先駆ける」とシスコ(ITmediaエンタープライズ)
「NetWorld+Interop 2004 Tokyo」が6月30日本格的に幕を開けた。雨の初日となったが、オープニングを飾る基調講演には15分前には長蛇の列ができた。
基調講演のトップを切ったのは、シスコシステムズ。米Ciscoのマイク・ボルピ氏(上級副社長兼ルーティングテクノロジーグループ ゼネラルマネジャー)が次世代ネットワークと同社のコンバージェンスのあり方を説明した。
同氏によれば、通信事業者の環境はここ数年で大きく変わってきている。収益が減少してきているのだ。電話の音声からデータ・インターネット志向へと変化し、規制緩和による競争の激化は運用コストを削減する必要を迫っているからだ。また、IPサービスでは移り気な顧客の心をしっかりつかんでいかなければならなくなった。
シスコはこれら課題を解決するため、コンバージェンスを提唱している。だが、「コンバージェンスは話す人によって変るから注意が必要だ」と同氏。
ボルピ氏はこのコンバージェンスを3つの視点で整理した。(1)ネットワークのコンバージェンス、(2)サービスのコンバージェンス、(3)アプリケーションのコンバージェンス——だ。
ネットワークのコンバージェンスは、電話/フレームリレー/ATM/携帯電話など異なるネットワークを一つIPネットワークに統合していくものを意味する。現在、ネットワークのレイヤはIP/MPLSに統一されつつあるが、今後はSONET/SDHなどのトランスポートも統一に向かうという。
その後、サービスのコンバージェンスが起こり、顧客の認証が単一のポイントで管理でき、携帯電話から無線LANへの移行など、顧客の忠誠心を養う技術が重要になってくるという。
最後にビデオ電話に見られるように、同じネットワークでビデオ/音声といった複数のサービスが統合されて実現される。IMで音声がやり取りできるのも、サービスのコンバージェンスの1つだと紹介した。
「これらの基盤を作るのがシスコの役目だ」(同氏)
そのために重要となるのが、通信事業者が常時稼動できるシステムで、サービスの継続性の確保し、将来に対する拡張性を持てるということ。
シスコは年間34億ドルという巨額の投資をしてハードウェアやソフトウェアを開発してきた。この基調講演の前日、超ハイエンドルータの「CRS-1」を日本でも発表したが、CRS-1はシスコの考える次世代ネットワークの基盤となるものだとボルピ氏は言う。
通信事業者がネットワークの稼動を止めることなく新たなサービスの追加でき、ロジカルルータ機能により顧客ごとに機能をセグメント化できる。シェルフを追加することで、既存のルータの100倍以上という92Tbpsまで拡張できるからだ。
コアだけでなく、アクセスルータではサービスのポイントとしてVPNやファイアウォール/IDS、VoIP、Webキャッシュ機能などが統合され、1つのプラットフォームからすべての機能が提供されるようになっていくという。
世界一のブロードバンドインフラを持つ日本に、シスコは強い視線を注いでいる。「今後、日本の顧客の要求に応え、そして世界へという順番でニーズに応えていかなければならない」とボルピ氏は述べた。
「帯域が新しいアプリケーションを生む。日本がサービスの豊かさでも世界を先駆けていくだろう」
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