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有線音楽放送最大手の「有線ブロードネットワークス」(東京都千代田区)が、聴取料の不当値引きで他社の顧客を奪っているとして、公正取引委員会は30日、ブロード社などに大幅値引きの一時停止を命じるよう、東京高裁に独禁法に基づく緊急停止命令の申し立てをした。審査終了まで状況を放置すれば、他社の存立が危うくなると判断。値引き停止は緊急を要するとして、29年ぶりとなる異例の命令申し立てに踏み切った。
関係者によると、ブロード社と同社代理店「日本ネットワークヴィジョン」(新宿区)は、業界2位のライバル社「キャンシステム」(渋谷区)の顧客に対し、有線放送の月額聴取料を通常より3割以上安い3000円にしたり、他社からの契約切り替え時の特典である無料サービス期間(通常1カ月)を1年にしたりする破格の条件で営業していた。
こうした営業は昨年10月から始まり、キャン社は契約件数の3分の1に当たる約9万件を奪われた。同社も料金設定を下げて対抗したが、経営を圧迫しているという。
公取委は今年5月、ブロード社本社などに独禁法違反(私的独占、差別対価)の疑いで立ち入り検査に入った。
しかし、その後も値引き合戦に歯止めがかからないこと、キャン社が市場から退場すればブロード社による1社独占となるおそれがあることから、審査終了を待たずに過度の値引きを一時的に中止させる必要があると判断。東京高裁に対し、ブロード社と日本ネット社に他社からの契約切り替え時、「月額聴取料3500円、無料サービス期間3カ月」より有利な条件で価格設定してはならない、とする命令を出すよう申し立てた。
緊急停止命令は過去に6件あるが、公取委の申し立てから高裁の決定までには1〜3カ月かかる。大半は公取委の主張が受け入れられている。
ブロード社社長室は「真摯(しんし)に受け止め、裁判所の決定が出れば従いたい。ただ、当社の設定料金は適正であり、独禁法に抵触するとは考えていない」と話している。(06/30 16:05)