2004年06月29日(火) 02時41分
三菱自きょう株主総会 ふそう車無料点検繰り上げ 相次ぐ火災、怒るユーザー(産経新聞)
経営再建中の三菱自動車は二十九日、東京・品川の本社で定時株主総会を開く。再建計画発表後に発覚した過去の欠陥隠しや、相次ぐ車両火災など不祥事を受けて、経営陣は株主の厳しい批判を浴びそうだ。
三菱自は五月下旬に発表した再生計画で、三菱グループや投資ファンドなどの出資による総額四千五百億円の増資を表明。リストラと新車開発を進め、平成十七年度の経常黒字化と十八年度の最終黒字化を「必達目標」に掲げた。だが、三菱自から分離前の三菱ふそうトラック・バスの悪質な欠陥隠しが明るみに出て、さらに信用を失墜。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は二十八日、三菱自の長期格付けを債務が支払われなくなる可能性が非常に高い「CC」から実質的に一部債務不履行となった「SD」に一段階格下げすると発表した。
三菱自動車や三菱ふそうトラック・バス(三菱自動車から商用車部門が分社化)の車両火災事故が相次いでいる。五月中旬以降、分かっているだけで計九件。この中には今後、リコール(回収・無償修理)を届け出る予定の欠陥が原因とみられる事故も含まれるが、リコールによる欠陥対策は進んでいない。三菱ふそうは予定していた全車両無料点検を前倒しする。
三菱ふそうは二十三日の会見で、六月中旬以降、同社製大型車の関係する火災が三件発生、警察や国交省から原因調査の際に立ち会いを求められていると明かした。長野県で火災を起こしたのはベアリング不具合でリコールを予定した車で、三菱ふそうはユーザーに同型車両の緊急点検を受けるよう呼びかけた。愛媛と佐賀両県のケースでは、欠陥との関連はないとの結論になっている。
その一方で、同社が届け出を予定している四十三件の不具合のうち、実際に届け出たのは三件のみ。不具合によっては、リコール届け出が十月末にずれこむ見通し。
届け出済みの三件についても、「ユーザー側が仕事を休めない」「仕事を休んでリコール対策を行うユーザーに、ふそう側が休業補償支払いを拒否している」などの理由で実施率が0・1−44・2%と低迷。欠陥をかかえた数十万台の大型車が全国を走り回っていることになり、頻発する火災発生事故を含め、さらなるトラブルへの不安、原因徹底究明への要望の声はユーザー間に強い。
消防庁によると、平成五−十四年の間、車両火災は毎年七千五百−九千七百件発生。東京都では十四年に六百五十四件の車両火災があったが、うち走行中に出火したのが百八十一件だった。
車両火災多発について三菱ふそうは「欠陥との関係が強いと思われるのは長野の事故のみ。三菱ということで注目されただけ。現在、調査中で詳しいことは不明。三十日の定例会見で報告できると思う」という。
三菱ふそうでは、七月七日から約百三十万台を対象にした無料点検キャンペーンと、リコール対象車への緊急点検を行うとしていたが、国交省の指導で七月一日からに前倒しする。(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040629-00000001-san-soci