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三菱自動車の欠陥隠し問題で、同社の社員らが現場で使ってきた独特の隠語が、事態の拡大で次々と明るみに出てきた。重大なのに事故扱い不要とする「赤チン災害」、警察の捜査を「介入」と表現するなど。事故は小さく収め、関係官庁に知られないように処理する——。数々の言葉の中に、「安全」意識が薄れた三菱自の姿が改めて浮かんでくる。
92年式ワゴン車、リベロとリベロカーゴで、後部荷台の扉が自重で突然閉まる事故が相次ぎ、02年までに11人が負傷していたことが23日、三菱自動車の記者会見で明らかになった。頭を8針縫ったり、むち打ちの後遺症が残ったりする人もいた。
「本来の『赤チン災害』以外はきちんと公表せよと改めて指示し、出てきたものです」
社内調査の責任者、橋本光夫・開発本部統括部長は発覚の経緯をそう説明し、調査の徹底ぶりを強調した。
「赤チン災害」は、労災関係で使われる俗語。「赤チン(マーキュロクロム液)を塗る程度の極めて軽いけが」だが、積み重なると重大事故を招くという意味もある。
しかし、同社では、走行中以外の事故は、報告のいらない「事故扱い不要」という独自の基準で分類しており、停車中に起きた「リベロ」の事故は、重傷にもかかわらず、「赤チン災害」と同じ軽い事故と解釈されてきたという。
三菱自から商用車部門を引き継いだ三菱ふそうトラック・バスが23日に開いた会見では「一発破壊」という言葉が出た。技術者の間で「急に部品が壊れる致命的な欠陥」を指す言葉だ。この中でも特定の事故は別の隠語で呼ばれた。
横浜市の母子死傷事故を起こしたハブの欠陥は、破損後の切断面の様子から「輪切り」、山口県で冷蔵車が暴走して運転手が衝突死した事故は「サバ折れ」。エンジンの動力を後輪に伝える棒状の部品、プロペラシャフトが「く」の字に折れ曲がった様子を相撲の決まり手「さば折り」になぞらえたといわれる。
警察や消防、国土交通省が事故の原因調査に乗り出すことは「官辺(かんぺん)介入」と呼んだ。「官辺」は官庁関係を指す。会見での配布資料では、車両火災の状況欄に「消防、警察介入」とあった。公的機関の調査や捜査に迷惑を感じていたことを示している。
「流行語大賞」の審査委員長も務める作家藤本義一さんは「走っていない車は車でないという理屈は、幼児の言い訳と同じ。責任回避の体質というより、責任というものがまだ理解できない幼児の会社だ」と分析している。
(06/27 18:55)