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■飼料・医薬品も公表
スーパー、ジャスコ品川シーサイド店(東京都品川区)の食肉売り場。牛肉の一部に、「生産情報公表JAS」のシールがはられている。十四けたの生産履歴確認番号も表示してあり、数字を店頭のタッチパネルに打ち込むと、「小麦、大麦、雑穀…」など与えられたエサが画面に表れた。
買い物中の主婦(51)は「情報が公表されても、それが正しいのか心配だった。これならいいですね」。同社畜産商品部長の中野修さんは「安心して買ってもらうために必要な社会基盤と考え、費用は価格に転嫁していません」と話す。
牛肉の生産情報公表JAS制度は、農家や、小売り・加工業者らが、生産情報を正しく記録・管理し公表しているかを、国が認定した検査機関(登録認定機関)が立ち入り検査などで監視し、認定する仕組み。
認定を受けると、商品にマークをつけることができ、情報の公表はインターネットやファクスなどで行われる。ジャスコでは店頭のタッチパネルで情報を提供している。「正しい情報であると保証することで、消費者の信頼を取り戻す制度」と農林水産省の表示・規格課。現在、登録認定機関は「リーファース」(東京都)など二社がある。
■トレサ法では流通経路や時期まで
牛トレーサビリティ法では、牛の生年月日や食肉処理されるまでに移動した場所、時期などの情報公開が義務づけられたが、消費者側からはエサと使われた医薬品も知りたいとの要望が強かった。このため、任意のJAS制度として法施行と同じ十二月に制度化され、四月下旬から販売が始まった。トレーサビリティ法は国産牛のみが対象だが、このJAS制度は、輸入牛肉も対象になる。
情報は三年以上保管しなければならず、偽装した場合は、認定を取り消されたり罰金が課せられることもある。豚肉についても七月末から始まる予定だ。
ただ、制度が発足したばかりとはいえ認定を受けた生産者(認定生産行程管理者)はまだ二件。消費者がマークを目にするのは、ジャスコの三店舗とコープこうべの店頭のみだ。
JA全農・畜産販売部の沓澤宏紀さんは「大半の牛は、繁殖農家が子牛を出荷し、子牛市場で競りにかけられ、肥育農家が買って育てあげる。子牛市場に不特定多数の農家が参加するので、情報がとぎれてしまい情報管理が難しい」と事情を話す。費用もかかる。生産農家が認定を受けるための費用は約三十万円。しかもマークをつけたからといって高く売れるかどうかは市場の動向もあり不透明だ。
JAは、繁殖農家と肥育農家が複数で認定を受け各戸の負担を少なくする仕組みづくりも進めるが、繁殖農家の高齢化も進む中「農家の理解を得て、いかに普及させられるかが課題です」と沓澤さん。
■面倒なネット確認…消費者に定着するか
一方、NPO法人「食品と暮らしの安全基金」の熊澤夏子さんは「情報開示はいいこと」としながらも、「医薬品がどんな状況で使われたのか、エサに大豆とあっても、遺伝子組み換えかどうか、などは公表が義務づけられておらず知りたい情報のポイントを欠いている。毎日の買い物の中で一つずつインターネットで確認して選ぶ消費者がいるかも疑問」と指摘する。
マークは消費者の安心の目安として定着するのか。沓澤さんは「今生まれた牛が出荷される約二年半後に、ある程度広がっているかどうか、それが目安になるでしょう」と話した。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040628/ftu_____kur_____001.shtml