2004年06月27日(日) 00時00分
おれおれ詐欺への送金 郵便局「待った」(朝日新聞・)
警察協力、客に電話 連日のように被害が報じられながらも収まる気配のないおれおれ詐欺。金融機関の窓口担当者が送金を思いとどまらせようとしても利用者が聞き入れず、みすみす被害に遭うケースもある。日本郵政公社関東支社(さいたま市)は管内の埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬各県警と連携し、郵便局側から依頼を受けた警察署が送金を食い止めるため電話口で説得にあたる試みをこのほどスタートさせた。
今月上旬、80万円を送金しようと高齢の女性が県北部の郵便局を訪れた。おれおれ詐欺を疑った職員は、多発する被害状況を説明したが、女性は「孫が車を買うので送金するんです。詐欺ではありません」と話し、そのまま送金。後日、おれおれ詐欺だったことが判明した。
同支社は言う。「おれおれ詐欺に違いないと思っても、郵便局職員の立場からは送金しないよう強く説得するのに限界がある」
同支社によると、昨年10月以降県内の郵便局で起きたおれおれ詐欺は未遂35件、実被害33件、被害総額約4400万円。
被害防止のため同支社は昨年11月、管内の郵便局におれおれ詐欺の多発を知らせる張り紙を掲示。詐欺が疑われるケースでは送金者に声を掛けて注意を呼び掛けることにし、実際に注意喚起したのが48件あったが、十数件は被害を食い止めることができなかった。
「説明から説得へ」。今年に入り同支社は方針を転換。送金を思いとどまるよう、窓口でより積極的な説得に乗り出すことにした。各県警との連携はその一環だ。
同支社からの依頼を受け、5県警は郵便局から各警察署に電話があった場合、詐欺事件の担当者らが電話口で利用者の説得にあたる態勢を整えた。捜査などで外出している場合でも、おれおれ詐欺の実態に詳しい警察官ができる限り電話口に出ることにしている。
他県ではさっそく効果が表れたところもある。23日、茨城県内の女性は、警察官を名乗る男から身内の事故を告げられた。振り込みのため地元の郵便局を訪れたが、局が警察に連絡を取り、警察官が説得に当たった結果、おれおれ詐欺だったことが判明。被害を未然に防いだ。
同支社は「捜査のプロの声を聞くことで、混乱状態にある利用者も冷静になれるのではないか」と、被害の減少に期待を寄せる。
県警捜査2課は「被害をこれ以上増やさないのが最大のおれおれ詐欺対策。可能な限り協力したい」としている。
(6/27)
http://mytown.asahi.com/saitama/news02.asp?kiji=5525
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