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2004年06月25日(金) 14時43分

三菱自のリコール進まず、7万5千台中たった81台読売新聞

 欠陥隠しが次々と明るみに出た三菱自動車製大型車をめぐるリコール(回収、無償交換)の作業が遅々として進んでいない。

 三菱ふそうトラック・バス(昨年1月に三菱自動車から分社)は、その理由を「トラック業界の特殊事情」と主張しているが、長年にわたって欠陥隠しを続けてきたずさんな体質は、リコール作業でも浮き彫りになっている。

 三菱ふそうが今年3月以降に公表し、「リコールを届け出る」とした欠陥は、車軸周辺部品である前後輪ハブの2件とクラッチ欠陥などを含め計45件にのぼっている。

 このうち、リコールの届け出済みはたった5件。

 2002年の山口県での死亡事故など3件の人身事故を引き起こしたクラッチ欠陥は、リコール届け出からすでに1か月が経過しているが、対象となった計約7万5000台(登録台数)の大型車で、点検だけの「暫定措置」を済ませたのは81台と全体のわずか0・1%。

 今年3月にリコールした前輪ハブも、実施率は44・2%にとどまっており、安全性が確認された部品に交換する「恒久措置」に至っては、実施台数はいずれもゼロのままだ。

 前例のない大型リコールのため比較は難しいが、一般的に3か月で8割程度完了させることが望ましいとされている。

 三菱ふそうは、対象車の多くが、運送会社所有の大型車に集中する点を強調。塩沢秀幸常務執行役員は23日の会見で、「営業車であり、ユーザーに呼びかけてもなかなか応じてもらえない」と説明。

 しかし、業界団体である全日本トラック協会(東京都新宿区)の幹部は「言語道断」と憤る。

 「人の命にかかわる欠陥を長年、隠していた責任をどう取るのか」として、リコールについては、「三菱側から各業者に休業補償して協力要請するのが筋」と主張する。

 三菱ふそうは、今月15日、堀道夫会長が同協会を訪れ、「混乱を招いたことをおわびする」と欠陥隠しの再発防止を誓ったが、リコール作業への協力要請は一切なかったという。

 実は、リコール対象となっている欠陥のうち、大型観光バスで駐車ブレーキが利かなくなる欠陥があることがわかったバネ部品は、他の大型車メーカーも使用する共用部品だった。

 「三菱でリコールなら、同じ部品を使っている他のメーカーはどうなのか」

 匿名の投書が国交省などに寄せられた。

 しかし、国交省が調べたところ、96年からこの共用のバネを使っていたライバル・メーカーでは、当初からこの部品を、消耗品として定期点検の対象項目にしており、傷、摩耗の有無に関係なく2年に1回の無条件交換としていたことがわかった。

 不具合や事故は1件もなかった。

 1995年以来全国で66件のトラブルが発生しながら放置してきた三菱側のずさんな対応が、かえって際立つ結果となった。

 三菱ふそうでは、今年10月までにさらに11件の欠陥についてリコールを行う予定だ。

 しかし、残る29件について、同社は「欠陥部品の技術的な検証に時間がかかっている。解決のアイデアがない」と“お手上げ”の状態であることを認めており、欠陥車が野放しとなっている状況は当分解消されそうにはない。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040625-00000106-yom-soci