2004年06月22日(火) 09時54分
<フィリピン>携帯メール課税に国民が大反発(毎日新聞)
【マニラ大澤文護】財政難に苦しむフィリピンで、政府高官が携帯電話のテキストメッセージ(文字メール)に20%課税する方針を示したところ、メールなしには一日も暮らせない国民から大反発の声が上がった。驚いた大統領府は「(メール課税は)政府の確定した方針ではない」との声明を発表。政府にとって財政再建の妙案は立ち消えになりそうだ。
フィリピンの携帯電話の文字メール料金は1通1ペソ(約2円)。現地紙の報道によると、政府は文字メール1通を送るたびに0.2ペソを課税する新税導入を検討してきた。今月11日、国家経済開発庁のネリ長官が、大統領府での経済関係閣僚会議後、アロヨ大統領は文字メールへの課税方針を検討している、と発表した。それをきっかけに税導入の是非をめぐる議論の熱は一気に高まった。
フィリピンでは、1日約1億5000万〜5億通の文字メールが発信されている。文字メールは通常の通話より料金が安く、若者からお年寄りまで暇さえあれば文字メールで連絡を取り合う生活習慣が定着した。海外に出て働く数百万人のフィリピン人労働者との連絡にも、文字メールが使われている。このため「国民に過度の負担を強いる悪税」との恨みの声が広がった。
上院財政委員会も「新税導入より汚職追放や脱税摘発で財政の健全化を図るべきだ」との意見が大勢を占めた。
大統領府は15日になって「文字メール税構想を推し進めようとの計画はない」との談話を発表。事実上、メール税構想撤回を余儀なくされた。
同国では、5月10日投票の大統領選挙の結果が今月20日に確定し、アロヨ大統領が30日に新しい任期に入る。厳しい与野党対立の中、次期政権は約2000億ペソの財政赤字解消という難題に向き合う。
メール税構想の撤回で、アロヨ大統領にとって財政再建の道はさらに厳しくなった。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040622-00001015-mai-int