2004年06月22日(火) 12時30分
黒川紀章さん論評巡り名誉棄損、「週刊文春」敗訴確定(読売新聞)
愛知県豊田市の豊田大橋のデザインに関する「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、建築家の黒川紀章さんが、発行元の文芸春秋(東京)と編集者に損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(上田豊三裁判長)は22日、文春側の上告を棄却する判決を言い渡した。600万円の賠償と謝罪広告掲載を命じた2審判決が確定した。
建築物などの作品に対する論評でも、事実に反し、否定的評価が全体の意見であるかのように取り上げた場合は名誉棄損になるとの判断を、最高裁も支持する結論となった。
問題になったのは、2000年4月6日号の記事。「黒川紀章『100億円恐竜の橋』に市民の大罵声(ばせい)!」との見出しを広告や目次に掲載し、記事では、豊田大橋の周辺住民や市議ら約20人への取材で批判的な声が多かったとして、黒川さんがデザインを監修したこの橋に否定的な論評をした。
黒川さんと事務所は、独自に市民約200人にアンケートを行い、肯定的な評価が約4分の3に上ったなどとして、それぞれ3000万円の賠償を求めて提訴。1審判決は、「アンケート結果は信用でき、取材は肯定的な意見を軽視したことがうかがえる」として、文春側に対し、黒川さんと事務所に各500万円を支払うよう命じた。2審判決は「記事は事務所まで非難したものとは言えない」と、黒川さんにだけ600万円の支払いを認めた。
文春側と黒川さんの事務所が上告したが、事務所の上告は同小法廷が既に退けていた。(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040622-00000303-yom-soci