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三菱自動車(昨年1月に商用車部門が三菱ふそうトラック・バスに分社)製の大型車で相次いで発覚した「欠陥隠し」。警視庁は、昨年起きた人身事故について再調査を決めたが、ハブ欠陥を除いて判明している計31件の欠陥車による事故の前には、「時間の壁」が立ちはだかっている。事故捜査を行った全国の警察当局も、欠陥について繰り返された三菱のウソにだまされた形となっている。
山口県で2002年10月、クラッチ部品の欠陥による死亡事故が発生する3日前。横浜市内の首都高速道路で、同じクラッチ欠陥による物損事故が起きていた。首都高湾岸線で同月16日、走行中の三菱製大型トレーラーで、後輪に動力を伝えるプロペラシャフトが突然、落下。長さ約1メートルの鉄製の部品が勢いよく対向車線に飛び出し、貨物トラックと乗用車2台に相次いで衝突した。
けが人はなかったが、神奈川県警ではトレーラーに構造的な欠陥があった可能性も考慮。整備会社による整備不良の両面から、捜査を開始した。
しかし、同県警高速隊の調べに対して、三菱自動車の回答は「原因は整備不良」。国土交通省の調査に対しても、「極めてまれな事故で、多発性はない」とウソの報告を行い、欠陥の発覚を逃れていた。
結局、三菱側の主張を崩すことができず、この事故は、「物損事故」として処理され、三菱側の「過失」が問われることはなかった。
けが人が出た「人身事故」であれば、運転手には刑法の業務上過失傷害罪が適用される可能性もあることから、警察当局では本格的な捜査を行い、大半は検察庁に送検している。
しかし、けが人のない物損事故の場合、適用される法令は道路交通法だけ。同法違反の罰則の上限から、警察当局では捜査資料を3年間しか保管しないケースがほとんどだ。
1995年6月に埼玉県内の東京外郭環状道路で発生した三菱製大型車の物損事故でも、捜査をした埼玉県警では、「物損事故扱いのため、事件の受理簿には載っていないだろう」とする。
長野県では96年10月、佐久市の上信越道で、走行中だった大型車のクラッチ部品が破損。プロペラシャフトが落ち、直撃を受けた後続車両が大破する事故が発生している。
しかし、同県警交通部の幹部は、「通常の物損事故として処理していた。欠陥が原因だったとは当時は予想もつかなかった」と振り返る。三菱をめぐる一連の事件捜査にあたっている神奈川県警交通部の幹部は、「(車軸周辺部品の)ハブでもクラッチ部品でも、三菱側は整備不良が原因とウソをつき続けてきた。とんでもない話で、まったく信用できない」と話している。