2004年06月18日(金) 09時28分
メールマーケティングで成功したオーストラリアのフォード輸入会社(japan.internet.com)
今年の初め、外国のEメールマーケティングのケーススタディを募集した。この分野が他の国ではどんな状況なのか興味がある。インターネットのグローバルリーチを考えると、情報を送ってくれる読者が少しはいるのではないかと期待した。実際、米国外から数例のケーススタディが送られてきた。そのひとつを紹介しよう。
Vehicle Development Corporation(VDC)は、 オーストラリア、メルボルン市にあるニッチな車両輸入会社だ。同社はアメリカからフォードのトラックを輸入し、正規ディーラーやパートナー関係にあるその他のディーラーを介して販売している。配達までのリード時間が長いこと、また地域法令の遵守といったローカルコンプライアンスの問題などがあるため、不十分なデータに基づいて購買を決定すると、利益はほとんどなくなる。
オンラインが便利なのは明らかだったが、これまで VDC がオンラインに登場することはほとんどなかった。VDC の通常の顧客は農業経営者とか馬主とか船の所有者で、オーストラリア全域に分散しているため、新聞やラジオ広告など従来の広告手段は実用的でないし、コスト効率も悪い。最近 VDC は、eXtra Dimensions Design Group と協力して効果的なオンラインマーケティング戦略を開始した。
VDC の顧客が電話や電子メールでさばききれないほどの質問を寄せたため、まず初めに Web サイトを立ち上げなければならなかった。Web サイトは、特に車両の外観やパフォーマンス能力に関する質問に、視覚的に答えるのに役立った。VDC にとっては写真と小さな模型はどんな言葉より価値のあるもので、社員の時間も大幅に節約することになった。Web サイトは、メールアドレスなどの訪問者のデータを収集する手段にもなっている。
サイトのトラフィックと DB を増やすために、VDC はすでにメールアドレスを知っている、一握りの顧客と潜在顧客に案内状を送った。サイト立ち上げから数日後には167名の登録者があった。さて、アメリカのマーケッター同様にこの数が少ないと思うのなら、これらがおよそ9万オーストラリアドルで売られるような最高級の贅沢車両であることを考えてほしい。1年に10数台を売るだけで、企業動態に大きな変化をもたらすのだ。
その後、VDC は第1回メールマーケティングキャンペーンを実施した。見ればわかるが、HTML メールの最上部には目立つロゴが、中央に短い説明文が、そして売り出し中の商品8台のサムネイルが配置されている。訪問者がリンクをクリックすれば、特定モデルの情報に飛んだり、サイトのホームページや写真ギャラリー、フィードバックフォームにアクセスできる。
第1回の結果は以下の通りだった。
・HTML メールを受け取った151名中112名がメッセージを開封し、開封率は約74%に達するという、他に類をあまり見ない結果だった。これは十分満足のいく結果だと、読者の誰もが賛成するだろう。ひとつおもしろいと思った点は、電子メールを開いてた時間が10秒に満たない場合、統計にはカウントされなかったことだ。
・メッセージの開封者がメッセージを見た回数は1人当たり平均4回で、これもまたすばらしい結果だ。
・1人当たりの平均閲覧時間は約2.5分で、総閲覧時間は275分だった(Web メールを使っている35名は追跡不可能なため、この数字には含まれない)。メッセージの受信者は開封しただけでなく、それに興味を持ち、時間をかけて読んでいる。統計に関してもうひとつ注記しておくと、メールの開封時間が10分以上経過すると、メッセージが開かれたまま忘れられてしまったと仮定し、閲覧時間の記録をストップした。
・電子メールから Web サイトへのクリックスルーは305だった。これは CTR にすると138%に等しい。クリックスルーとしてはさほど珍しくない数字だ。開封された1メッセージあたりではおよそ2.2クリックスルー平均ということになるが、VDC にとってはやはりとても励みになる結果だ。
・最も重要なのは、第1回キャンペーンの結果、新たに F150 Harley トラックを1台販売したということだ。
その間、VDC と eXtra Dimensions Design Group は、SEO(検索エンジン最適化)や口コミなどで訪問者をサイトに誘導する働きかけを行った。立ち上げ後6週間で、VDC は新たに249名のアドレスを DB に追加し、新規登録者にメールを送った。これはつい最近のことなので、まだ報告できる結果は入手していない。現在 DB には約675名の登録メンバーがいるが、今後も増加し続けるだろう。
eXtra Dimensions Design Group の Nina Meiers 氏に、オーストラリアのメールマーケティングは米国のそれとどう違うと思うか尋ねた。彼女の答えは、ひとつに、「(ここでの)メールマーケティングは、米国よりも認知度の点で少々遅れている気がする。これはあくまでこれは私個人の考えで、オンラインやクライアントとの関係で私が見てきたもの以外何の根拠もないが。長い教育過程にあり、人々はプライバシーの侵害やスパムに対する疑いを持ち、それで何ができて何ができないのか、考えている段階だ」と答えた。また彼女は、「世界中どこでも人は皆同じだ」と付け加えた。彼女の言葉はメールマーケティングに限った話ではない。
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