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三菱自動車製大型車のクラッチ系統の欠陥から02年に起きた死亡事故で、神奈川・山口両県警の調べに対し、同社元社長・河添克彦容疑者(67)=業務上過失致死容疑で逮捕=が「00年に旧運輸省に重要な不具合を報告するよう求められた際、98年4月以降の分しか報告しないことを了承した」と供述していることがわかった。欠陥は96年までに判明し、同社が隠蔽(いんぺい)していたが、両県警は、不具合情報の中に重大な欠陥があることを予想できたのに精査しなかった過失は重大とみている。
河添元社長は「報告の際にクラッチ系統の不具合が漏れ、結果的に死亡事故を発生させてしまった」とも供述しているという。
調べによると、三菱自は77年ごろからユーザーからの不具合情報を二重管理。リコール(無償回収・修理)を届けずに修理する違法な「ヤミ改修」を続けた。
クラッチ系統の欠陥も96年5月には危険性が明確だったが隠蔽。00年、別のクレーム隠しが発覚し、旧運輸省が同社に重要な不具合情報の報告を求めた際、河添元社長は「98年3月以前の不具合情報は保存されておらず、調査ができない」と虚偽の報告をした。
両県警は、河添元社長ら逮捕された元役員6人のうち、元品質・技術副本部長の中神達郎容疑者(61)は96年に危険性を検討した会議でトップを務め、放置すれば死傷事故が起きることを容易に予見できたのに河添元社長に旧運輸省への報告を促すなどしなかった過失があったと判断。大型車部門を統括する社内組織「三菱ふそうトラック・バスカンパニー」元社長村田有造容疑者(66)と同元副社長宇佐美隆容疑者(63)も同様の認識があったとみている。
一方、河添元社長については、クラッチ系統の欠陥を具体的に知らなかった可能性があるものの、三菱自が長年にわたり様々な不具合情報を隠蔽し、ヤミ改修をしていたことを熟知していたと判断。不具合情報の中に重大事故につながる欠陥が含まれることを予見できたのに、最高責任者として精査して知ろうとしなかった点を過失とみている。
クラッチ系統の欠陥はクラッチを格納する部品が破損し、車が制動不能になったり、火災を起こしたりする。三菱自は95年ごろ、原因を調べる実験をし、設計上の欠陥と判明。96年3〜5月にかけて計3回開かれた「リコール検討会」などの会議で「非常に危険な欠陥」という結論が出たが、適切な改善措置をとらなかった。(06/18 07:50)