2004年06月18日(金) 12時48分
<ソフトバンクBB>IP電話の通話記録140万件が流出(毎日新聞)
ブロードバンドサービス会社「ソフトバンクBB」(東京都中央区)の顧客情報が大量に流出した事件で、IP電話サービス「BBフォン」の通話記録も流出していたことが18日、警視庁捜査1課の調べで分かった。約140万件の記録が引き出されたとみられる。通話記録の流出は極めて異例。同社から流出した氏名などの顧客情報も約660万人分と、これまで判明していたより約200万人分多いことも新たに分かり、同社の情報管理のずさんさが改めて浮き彫りになった。
同課は、同社の親会社のソフトバンクから現金を脅し取ろうとしたとして逮捕、起訴した政治団体幹部、森洋被告(67)の茨城県内の実家を家宅捜索した際、数十件の通話記録が記されたA3サイズの紙1枚を押収した。通話元と通話先の電話番号、通話開始時刻、通話時間、通話ごとの料金などが記載されていた。
顧客情報をインターネットカフェで引き出したとして逮捕されたハッカーの冨安泰生容疑者(24)は「今年1月にソフトバンクBBのデータベースに侵入し、大量の通話記録をハードディスクにダウンロードした」と供述したという。同課が確認したところ、流出件数は約140万件に上った。記録が悪用された形跡はなかったという。【川辺康広】
◇“業界のガリバー”の脇の甘さに驚きの声
ソフトバンクBBは18日朝、電気通信事業法に基づき、IP電話の通話記録が流出していたことを総務省に報告した。同省は同社から詳しく事情を聴く方針。一方、IP電話を運営する他社は「通信の秘密にかかわる問題なのに、かつて聞いたことがない事態」と“業界のガリバー”の脇の甘さに驚きの声を上げた。
IP電話はNTTの交換機を通さずにインターネット回線網を使って音声をデータ化して通信するシステム。同社によると、14日に警視庁から23人分65件の発信記録データが記された資料の照会を受け、17日に流出の事実を確認したという。
BBフォンは02年4月にサービスを始めた。通話料金の安さで人気を集め、IP電話の接続機を無料で配るなどして加入者を増やした。KDDIやNTTコミュニケーションズなど大手インターネット接続業者(プロバイダー)も参入したが、BBフォンは5月末には加入者が395万人を突破し、業界内で独走状態が続いている。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040618-00001043-mai-soci