悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
女児らの代理人によると、ステロイド剤を使用しないアトピー治療で、医師の過失が認められたのは初めてという。
片山裁判長は、問題の治療について「女児のかゆみを助長し、症状を著しく悪化させて全身衰弱をもたらした」と指摘。「症状を悪化させることがあると知りながら、治療を実施した医師には過失がある」とした。
藤沢皮膚科側は「症状悪化は、ステロイド剤の使用を中止したことによるリバウンド(反動)が原因」と主張していたが、退けられた。
判決によると、女児は二歳の時から複数の医療機関でステロイド剤を使ったアトピー治療を受けていたが、二〇〇〇年四月、「脱ステロイド療法」として評判の高かった同皮膚科で受診し、同年七月まで週三回程度通院した。
同皮膚科は、刺激の強さから、当時は子どもへの使用認可が出ていなかった塗り薬などを処方、女児は全身に湿疹(しっしん)が広がり、頭髪がほとんど抜け落ちるなど症状が急激に悪化。金沢大病院に入院し、ステロイド剤を用いた治療を受け直し、症状は回復した。
判決について、藤沢皮膚科側は「とても残念だが、判決の内容が分からないのでコメントできない」としている。
■患者心理悪用 被害例も増加
アトピー性皮膚炎の症状を訴える子どもは増えているが、根本的な治療法は確立されていないのが現状。治療の主流であるステロイド剤に副作用も指摘されることから、患者や親の不安につけ込む形で、民間療法や特殊な治療が登場し、被害例も増えている。
日本皮膚科学会によると、二〇〇〇年に各地の医療機関に調査したところ、報告のあった「不適切な治療によって症状が悪化した例」のうち半数近くは、原因として「脱ステロイド治療」が挙がった。このため、学会側は同年、ステロイド外用薬がアトピー治療の根幹だとするガイドラインをまとめている。
原告の女児の診察に当たった金沢大医学部の竹原和彦教授は「テレビの健康番組などに取り上げられたこともあり、科学的データが示されないまま風評が独り歩きした。患者心理が利用された悲劇だ」と話している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20040617/mng_____sya_____008.shtml