2004年06月17日(木) 02時56分
子供にネット浸透 親の目届かず 小5の7割経験、親より精通(産経新聞)
PTA全国協調査
小学五年生の約六割がパソコンを使い、約七割がパソコンや携帯電話でインターネットを利用した経験があることが十六日、日本PTA全国協議会の調査で分かった。うちメールは約12%、チャットや掲示板は約7%の子供が利用していた。一方、保護者の約25%は子供の方がネットに精通していると感じ、約13%はわが子がネットで何をしているのか全く知らなかった。
長崎県佐世保市の小六同級生殺害事件では、ネット掲示板の書き込みが引き金になったとされるが、親の目の届かないところで子供の世界にネットが急速に浸透している実態が読み取れる。
調査は、全国の小五と中二のそれぞれ三千五十人と、その保護者六千百人を対象に、昨年十一−十二月に実施。有効回答率は83%だった。
それによると、約八割の家庭に共用や子供専用パソコンがあり、小五の約六割が日常的にパソコンを使用。パソコンや携帯電話によるネット利用は、小五で69%、中二で80%が経験していた。
小五のネット利用法は、オンラインゲームが41・8%▽ホームページ閲覧23・2%▽メール送受信12・2%▽チャットや掲示板利用7・7%。利用目的は「勉強のため」が54・4%、「気分転換・暇つぶし」が46・1%、「家族や友人との連絡」は11・2%だった。
「ネットの利用法について話をするか」と聞いたところ、親子の意識にズレがみられた。小五の保護者の七割以上、中二の保護者の六割以上は「子供と話をしている」と回答。一方、「親と話をしている」と答えた子供は、小五が五割強、中二は半数を割り込んだ。
ネットの知識では、小五の保護者の25・6%、中二の保護者の45・2%が「子供の方が詳しい」と回答。「子供がどのくらい知っているのか分からない」という保護者は小五24・1%、中二20・6%。保護者の理解を超えてネットを操る子供の姿が浮かび上がった。
携帯電話を持つ子供は小五で約一割、中二で約三割。持たせた理由(複数回答)は「家族との連絡のため」が大部分だが、中二では「子供が強く希望」も30%あった。
携帯電話やパソコンで「出会い系サイト」を利用したことがある子供は中二男子で2%、同女子で3%だった。
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≪家族の対話少なく…深みに≫
ネット知識と利用で親をしのぐ−。調査結果は、急速に発展するIT社会の中で、十代前半の子供が保護者の手の届かないところまで、ネットの深みにはまり込んでいる可能性を示唆した。
問題とみられるのは、親子間に認識のズレがある点。子供がインターネットを使う際に「一緒にいる」と答えた保護者は約35%、「子供が閲覧した内容をチェックする」は約7%だった。
子供に同じ質問をしたところ、「一緒にいる」と意識している小五と中二は計14・2%、「大人に内容チェックされている」と感じた子供は計2・9%。約七割の子供が「親は何も言わず自由に使わせてくれる」と回答しており、保護者として子供を監督する意識に甘さがあるようだ。
日本PTA全国協議会の赤田英博会長は「家庭での会話が少ないため、親が子供の世界を理解できないことが、認識のズレの原因ではないか。わが子を信用しているのかもしれないが、親は子供の実態を知らなさ過ぎる」と指摘する。
同協議会では、親にはネットのノウハウを情報提供し、子供にはネットの便利さとともに、悪用を戒める教育の必要性をあげている。(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040617-00000000-san-soci