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社会保険庁の地方事務所で、職員が公的年金の加入者・受給者の個人情報を閲覧できる専用磁気カードが、必要な職員の数より1万枚も多く発行されているうえ、職務上必要のない人の情報も簡単に閲覧できる状態にあることが15日明らかになった。年金情報には、個人の氏名や生年月日、勤務先、年金加入歴、受給記録などが蓄積されている。同庁は今後、カードを職員1人1枚保有にして、暗証番号で管理するなど管理体制を抜本的に見直す方針だ。
公的年金の加入者や受給者の記録は約1億人分ある。個人情報は、都内の社会保険業務センターのデータベースに蓄積され、全国312カ所にある社会保険事務所などの「窓口端末」計1万709台と、専用回線で結ばれている。
端末操作には専用の磁気カードが必要だが、同庁によると、社会保険事務所に配布され、個人情報を閲覧できるものだけで5種類、計2万7554枚ある。同庁の地方職員は約1万6600人で、うち約1万4200人がカードを使い実際に端末を操作する。年金相談などで端末を使う臨時職員約3300人を含めても、必要な約1万7500人に対しカード総数は約1万枚多い。
同庁運営部は「現場の要求に応じて随時、新たなカードを作製・配布してきたが、必要性の低くなったもののチェックや回収は不十分だった」と説明している。真野章・同庁長官が5月の国会で「1万以上はカードがある」と答弁、上層部も最近まで実際の総数を把握していなかった。
カードは、部署ごとに担当職員数名に対して複数枚のカードを配布し、数日〜1週間使い回す仕組みが原則だが、業務時間中はカードを端末に差したままの職場もあるという。暗証番号もなく、個人情報の漏洩(ろうえい)などがあっても閲覧者の特定は難しいのが実情だ。
総務省によると、同様に個人情報を扱う住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)では、各自治体に対し、カードを担当職員1人に1枚ずつ割り当てたうえ、暗証番号で管理するように定めているという。
年金情報をめぐっては、年金のCMに出演した女優や政治家の年金加入歴が週刊誌に流出し、国会などで問題化。同庁は5月に、不必要な年金情報の閲覧を禁じる内部通達を出している。90年代には、同庁職員が受給資格のない人物の記録を改ざんしたり、架空の人物をでっちあげたりして年金を不正給付する事件が相次ぎ、過去の記録を修正できるカードを限定する措置がとられた。
カードの1人1枚化について、同庁職員の大半が加入する労組「自治労国費評議会」はこれまで「労務管理に使われる恐れがある」と反対してきた。批判の高まりから、今回は「検討せざるをえない」と姿勢を軟化させている。(06/16 07:44)