2004年06月16日(水) 23時23分
<インターネット>小5、中2が経験率で保護者を上回る(毎日新聞)
インターネットの利用経験がある小学5年生は69%、中学2年生は80%に上り、その保護者の経験率(約6割)を上回ることが日本PTA全国協議会(赤田英博会長)のアンケート調査で分かった。子供がネットを使う時には自分が一緒にいると受けとめている保護者が35%いるのに対し、子供の回答では「親が一緒」は14%にとどまった。ネットを巡る親子の意識の隔たりや、親の目が届きにくい利用実態が浮き彫りになった。
アンケートは昨年11〜12月、無作為抽出した小5と中2の各3050人とその保護者6100人に郵送で実施した。小5の80%、中2の87%、保護者の82%から回答を得た。8割近い家庭にパソコンがあり、子供専用があると答えた保護者も6%いた。小5の約1割、中2の約3割は携帯電話を持っていた。
ネット利用(携帯電話による接続も含む)の経験率は小5の場合、子供のほうが保護者を5ポイント上回り、中2になるとこの差が20ポイントに広がった。
子供が自宅でネットを使う際、保護者はどうしているか。小5の場合、保護者の44%は「一緒にいる」と答えたが、子供の回答で「親が一緒」は24%で、むしろ51%は「自由に使わせてくれる」と認識していた。中2でも同様の隔たりがあり、親の目の届かない所で子供がネットを使っていることをうかがわせた。
ネットでの利用内容を子供が親に話しているかを尋ねると、小5では保護者の73%、子供の58%が「(時々)話している」と答えた。だが中2になると、保護者67%、子供42%と認識の差は広がり、子供の57%は「(ほとんど)話さない」と回答した。中2の場合、出会い系サイトを子供が利用したことがあると考える保護者は0.5%にとどまるが、子供の2.4%が「ある」と答えた。
子供と親のどちらのほうがネットの知識があるか。保護者に尋ねると、小5で26%、中2で45%が「子供」と答えた。「同じくらい」を含め「子供のほうが同等以上」は小5で39%、中2で59%に上った。
赤田会長は「さまざまなギャップは、親が子供を信用しているとも言えるが、状況を知らなすぎるとも言える。親子の会話を増やすほか、メディアリテラシー(情報理解能力)について保護者にも研修をすることを考えなくてはいけない」と話した。【千代崎聖史】
<情報倫理教材の作成に取り組む宝迫(ほうさこ)芳人・埼玉県所沢市立荒幡小学校教諭の話>
インターネットの利用実態で、親子の間にかい離があるのは、予想の範囲内だ。子供は親に比べてコンピューターには堪能だが、言葉遣いなどコミュニケーションそのものが稚拙で、活字は特に誤解を招きやすい。家庭でのネット利用は野放しに近い。現在も保護者会などで注意を喚起しているが、保護者はネットの現状を知らないことが多く、子供のプライバシーを気にしがちだ。交通安全教室のように、ネットの危険性に対する注意を親子に促す場を設ける必要があるかもしれない。
<メディアと教育に詳しい藤川大祐・千葉大教育学部助教授(教育方法学)の話>
子供たちは学校でインターネットを使っており、親よりも利用率が高いのは当然だが、この結果を佐世保の(小6同級生殺害)事件と結びつけて「不適切なネット利用が広がっている」と考えるのはまずい。ネットで生き方の可能性が広がるのは確かで、子供には利用の時間帯や長さなど適正な生活習慣の中で無理なく使うことを学ばせるべきだ。保護者にとっては、自分たちがネットを利用するよりも、子供がどのようにネットを使っているかを子供から聞く努力をすることのほうが大事だ。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040617-00000082-mai-soci