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ハンセン病啓発活動をしている社会福祉法人「ふれあい福祉協会」(東京都港区)が発行した冊子の記述をめぐり、熊本県が「入所者の宿泊拒否問題で県の対応に問題があったと誤解されかねない表現がある」と反発。問題の部分の削除などを求めたが協会が応じないため、5月下旬に関係機関への配布用として受け取った冊子約650部は配られないまま、宙に浮いている。
「ふれあい福祉協会」は厚生労働省の委託を受け、5月下旬、全国のハンセン病国立療養所や自治体に啓発用の冊子「ふれあい福祉だより」(A5判、79ページ)を約2万部送った。
問題の記述は、国立療養所松丘保養園(青森市)の福西征子園長が昨年11月28日に青森県内で話した講演録。入所者の宿泊について「(同園はホテルと)折衝を重ねて了解をとっている」「青森県庁の担当者は『最初から相応の見識を備えた支配人がいるホテルを選ぶようにしている』というような説明をしていました」との発言が収録されている。
熊本県では昨年11月、国立療養所菊池恵楓園(けいふうえん)(同県合志町)の入所者が温泉地のホテルに宿泊を拒否された問題が発覚した。県は予約段階で、宿泊するのが入所者であることをホテルに伝えておらず、後にホテルから「うそをついた」などと批判された経緯がある。
熊本県は「泊まるのは入所者だと伝えること自体が差別」との立場を取ってきた。県健康づくり推進課の東明正課長は「ここだけ読めば『県の対応が悪かった』と読者に誤解される恐れがある」と話す。
青森県保健衛生課は「熊本県を揶揄(やゆ)するつもりはなかった」と釈明し、福西園長も「宿泊を拒否したホテルの姿勢に問題がある」と説明する。
熊本県はふれあい福祉協会に講演録の一部削除や訂正を求めたが、協会は「全体を読んでいただければ(問題ないと)理解してもらえる」として新たな対応はとっていない。
ハンセン病問題に詳しい富山国際大の藤野豊・助教授(日本近現代史)は「熊本県のいう通り、予約時に元ハンセン病患者であると言う必要は無い。元インフルエンザ患者とは言わないわけで、ハンセン病だけ別にするのは差別にあたる」と話している。(06/16 16:34)