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その上、土の水素イオン指数(pH)が5.0〜5.5と微酸性であるのも、茶の生育に良く適合し、さらに排水良好の丘陵地、台地がおだやかな太陽光に包まれて多くあるためだ。
中でも、中川根町を中心とした銘茶産出の地域は、その条件が整っており、昔から伝統的な製茶法で「天然玉露」とも呼ばれる銘茶を産してきた。
ところで、「朝茶はその日の難のがれ」とか、「朝茶は七里帰っても飲め」という諺(ことわざ)がある。実は、茶はもともと中国から薬用植物として入ってきたもので、健胃や解熱のほか眠気をさまし、心身を元気づけるといった薬効を持っている。
それ故に、朝の一杯の茶は、心を落ち着け、心身を醒(さ)まし、気をめぐらし、胃の働きを活発にするなどの健康的理由からも大変よろしいということで、朝茶は先ず仏様に供して祈り、その日一日の難を茶とともに逃れることに通じるのである。
七里も遠くに行く用事があっても、その日のうちに帰ってきて翌朝は必ず茶を飲め、という意味もそのあたりにある。「七里」の意味は、江戸時代、「七里継宿(つぎやど)」とか「七里飛脚(びきゃく)」、「七里役所」というように、七里ごとに境界があって、隣の群(ぐん)を意味する「遠い地点」であった。
芭蕉の句に、「朝茶のむ僧静か也菊の花」というのがある。朝の勤行(ごんぎょう)が済んで、禅僧が茶を飲んでいる風情だが、このたった17文字の中から朝の澄みきった空気と、茶の香味が扮々(ふんぶん)と漂ってくる。
最近の日本では、朝茶の代わりにまずコーヒーを一服入れる人も増えてきたが、まさかその日の難逃れにコーヒーを仏様に供する人もありますまい。