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「自衛隊のイラク派遣に反対しています 日本弁護士連合会」。かばんに付けたステッカーは、裁判所が構内持ち込みを禁じる「プラカード類似物」か、「認められるべき表現行為」か。裁判所と弁護士の間で論争が続いている。
東京弁護士会所属の内田雅敏弁護士(59)が、ステッカーをかばんに張って街を歩き出したのは今年1月ごろ。「違憲のおそれが大きい」とイラク特措法に反対してきた日弁連がつくった約300枚のうちの1枚だ。
革かばんの側面にじかに張るとすぐにはがれるため、いったんボール紙に張り、それをかばんの取っ手からひもで下げるように取り付けた。出張で地方の裁判所構内に入ったときも、警察の留置場に被疑者の接見に行ったときも、「何も言われなかった」という。
裁判所法では、裁判長(官)は法廷内の秩序維持のための措置を命じることができる。最高裁はさらに、裁判所構内(敷地内)でも管理規定を設け、プラカードの持ち込みやゼッケンの着用などを禁じている。
内田氏が東京地裁・高裁の構内で、警備員から「外して下さい」と言われたのは4月末。「プラカードではない」と反論して入っていた。当初から法廷に入るときは裁判官の権限を尊重し、ステッカーの側を隠したりボール紙ごとかばんの中にしまったりしてきた。
5月下旬、庁舎を管理する高裁事務局長らの名で警告書が届いた。ステッカーを「プラカード類似物」とし「裁判の公平への国民の信頼を損なうおそれがある。今後も同様の行動を続けた場合、退去命令を出す」という。
内田氏は東京高裁の山名学・事務局長と面談。
〈事務局長〉 裁判所は政治的主張から中立的な立場で、法廷のやり取りだけで判断したい。
〈内田氏〉 法廷ではしまっている。公道の延長上といえる場でこの程度の表現行為は認められるべきだ。裁判の公平を損なうとの見解は納得できないが、退去させられては弁護活動をできないので警告があれば従う。
以来、警告があるたびにしまっている内田氏だが、「裁判所は形状だけでなく、メッセージの中身まで問題にしているのでは?」と疑う。山名事務局長は「構内は公道とは違う。一方の政治的主張をされると、反対側もさせろとなり、混乱を来す。主張の中身、思想のチェックはしないが、形状とともに一定の主張が表示されていることも総合的に判断する」。
では「護憲」と書いたTシャツは「ゼッケン類似物」として脱がされるのか。平和を訴えるシンボルバッジはどうか。裁判所は「一つひとつ具体的個別的に判断していくしかない」という。(06/10 18:58)