2004年06月08日(火) 21時07分
「これまで通りの流通を守るため、最大限の努力をしていく」——タワー・HMVが共同声明(ITmediaライフスタイル)
先日可決した著作権の一部を改正する法律案について、タワーレコードとHMVジャパンが共同で声明を発表した。記者会見では、声明が発表されたほか、両社社長からの今後の展望が語られた。
声明は「洋楽輸入CDの自由な流通を守り、消費者の選択の自由が侵害されないよう、関係省庁・団体への注視・働きかけを続けていく」という趣旨のもので、以下の3項目からなっている。
・「著作権法の一部を改正する法律案」の成立、施行にとって、洋楽輸入盤CDの輸入規制が起こらないよう、今後も文化庁や日本レコード協会などの関連省庁・団体に対しての働きかけを行い、その動きを厳しく注視していくこと」
・「著作権法の一部を改正する法律案」が邦楽の著作権者を守るという本来の目的に沿って運用され、政府および関係者が同法案の「欧米諸国からの洋楽の並行輸入等が阻害されるなど消費者の利益が侵害される事態が生じた場合胃は、適切な対策を講じる」等の付帯決議を遵守するよう働きかけていくこと
・「万一、洋楽輸入盤規制により消費者に不利益が生じるような可能性が発生した場合には、直ちに洋楽輸入盤の自由な流通を守るために必要な行動を取ること」
タワーレコード代表取締役社長の森脇明夫氏は「関係省庁などからは(洋楽の輸入が止まらないという)確認をもらっており、これまで通りの提供ができると確信している。しかし、法的担保はないので、HMVと共同で取り組んでいく」「(タワーレコードは)25年に渡り洋盤を提供しており、(消費者が)自由に購入できなくなるのは大変なこと。全力を尽くしていく」と今後の展望を語り、HMVジャパン代表取締役社長のポール・デゼルスキー氏も同様の見解を述べた。
また、デゼルスキー氏は、昨年秋から同社がタワーレコードと共同で関係省庁・団体への働きかけを行ってきたことを明らかにした。その結果として、衆参両院で付帯決議がつき、日本レコード協会および各レコード会社から言質を得たと述べ、この問題に関しては消費者からの関心が高いこともあり、「これまで通りのビジネスを続けていけるでしょう」と見通しを述べた。
記者会見に同席した音楽評論家の高橋健太郎氏は、「水面下ではあるものの、昨年9月から活動をしていたHMVとタワーレコードに敬意を表したい。付帯決議には彼らの力が大きい」と両社の活動について述べたほか、「音楽ファンの反発が不買運動などにつながりかねないという側面があるが、これは違った意味で音楽の選択肢を狭めることになってしまう」と、消費者が短絡的な行動を起こさないよう呼びかけた。
高橋氏は今回の運動を通じてできあがったネットワークを利用し、還流阻止以外の形で今回の法案が機能しないように、監視していきたいという構想を述べた。詳細については未定だが、「これからは監視していくことが大切ではないかと思います」「みんなでウォッチ(監視)してくことが、大きな抑止力となるかと思います」(同氏)。
法案には輸入禁止となるCDの判断基準などグレーゾーンが多いことも指摘されているが、その明確化も求めていく考え。「学識経験者などを含めたある種の団体を組織することができれば」と高橋氏は述べており、監視ネットワークの件も含めて、今回の運動を通じて声を上げた音楽ファンの力を「音楽文化を盛り上げるために使うことができれば」という。
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