2004年06月07日(月) 17時00分
『ウィンドウズXP』でWi-Fi接続が突然切れる現象が多発(WIRED)
ケビン・ギルモア氏はカリフォルニア州サンパブロにある中小企業、
http://www.microdisplay.com/ マイクロディスプレー社のネットワーク管理者だ。同社では、社員がインターネットに接続したままノートパソコンを持って移動できるよう、Wi-Fi(ワイファイ)アクセスポイントを数ヵ所に設けている。
しかしこのところ、『ウィンドウズXP』ユーザーの間ではよく知られた問題に、ギルモア氏は悩まされつづけている——ワイヤレス・インターネット接続が突然切れるという原因不明の問題だ。ギルモア氏が絶え間ないサポート要請から学んだのは、この問題の根本的な解決策を探そうとしてもあまり意味がないということだった。
「まったく理由もなく接続が切れたり、復旧したりする。規則性はないようだ」とギルモア氏は語る。「最初のころはすごく腹が立ったが、今ではウィンドウズで作業する際の通常の要素だと思うようになった」
この問題の症状を説明しよう。ウィンドウズXPが稼働しているWi-Fi接続可能なコンピューターは、しばらくの間は正常に動作し、ウェブページを表示したり電子メールを処理したりする。しかし突然接続が切れ、ウェブサイトは表示に失敗し、電子メールの送受信も中断する。タスクバーの「ワイヤレス・ネットワーク接続」アイコンを見る限り、アクセスポイントからの信号は十分で、電波の届かない場所に移動してしまったことが原因ではない。
コンピューターのWi-Fi機器がアクセスポイントに情報送信中だということを示すアイコンが表示されている——しかし応答がない。また、XPに付属するワイヤレス接続設定ツールを使って手動で再接続しようとしてもうまくいかない。さらに奇妙なことには、接続が自然に復旧することもあるのだ。
事例を見る限り、大半のユーザーはこの問題がWi-Fi機器に関するものだと推測している。しかし問題の原因はどうやら、ウィンドウズXPの「ワイヤレス・ゼロ設定」(Wireless Zero Configuration)というツールにあるようだ。これはソフトウェア・ドライバーや設定ユーティリティーの乱立の解消を目的とした機能だ。
米マイクロソフト社はウィンドウズXPとWi-Fiとの連携に問題があるという説を否定している。
「当社にはウィンドウズXPが他のシステムよりワイヤレス接続が切れやすいことを示すデータはない」と、マイクロソフト社のウィンドウズ部門の製品責任者、グレッグ・サリバン氏は述べている。「前のバージョンと大きく異なり、ウィンドウズXPのWi-Fi設定は簡単になっている」
実際、以前のバージョンのウィンドウズでは、Wi-Fi機器メーカーが開発したソフトウェアで機器設定を行なう必要があった——こうした企業が使い勝手の良いプログラムを作ったという評判はあまり聞いたことがない。設定ユーティリティーはメーカーごとにまちまちで、用語が異なる場合もある。マイクロソフト社がウィンドウズにワイヤレス・ゼロ設定を盛り込んだのは、ユーティリティーを統一して負担を軽減するためだった。
しかし残念なことにこの機能はあまり信頼できるものでないと、『
http://www.wifinetnews.com/ Wi-Fiネットワーキング・ニュース』の編集者、グレン・フライシュマン氏は語る。
「問題は、ワイヤレス・ゼロ設定が何らかの原因でおかしくなると、ユーザーは……ワイヤレス接続できなくなってしまうことだ」と、フライシュマン氏は指摘する。「このシステムを構成する多種多様な要素の間でややこしいやり取りがあって、イライラさせられる」
一部の人々にとって最も腹立たしいのは、XPのタスクバー上のワイヤレス・ネットワーク接続アイコンに異常がまったく表示されないことだ。純粋な機器障害の場合は、このアイコンに接続が切れたことを示す赤い×印がつく。しかし今回の原因不明の接続切れの場合、このアイコンは接続状態を表示したままなのだ。
マイクロソフト社はこのアイコンに惑わされないよう注意を呼びかけている。
「このアイコンはアクセスポイントとの関連を示している。(インターネットに)接続していない状態でも、関連付けられている可能性はある」と、マイクロソフト社のワイヤレス・グループのプログラム責任者、シャイ・グデイ氏は説明する。
しかしほとんどのユーザーは、アクセスポイントへの接続と「関連」を区別できるだけの知識を持っていない。アイコンを見る限り信号の強いアクセスポイントがあることしか分からず、それなのにインターネットには接続できないのだ。
どこがおかしいかに関してはいくつかの説がある。電子レンジやコードレスホンなど電波雑音を発生する電気器具による干渉が原因の場合もあると、Wi-Fi接続プロバイダーの
http://www.boingo.com/ 米ボインゴ・ワイヤレス社の製品管理責任者、クリスチャン・ガニング氏は指摘する。
また、マイクロソフト社のソフトウェア・アップデートが原因だという人もいる。ワイヤレスのセキュリティーを強化しようとした結果、特定の——たいていは古い——機器で
http://www.tek-tips.com/gviewthread.cfm/lev2/5/lev3/34/pid/730/qid/582449 問題が起こるというのだ。
さらには、そもそもマイクロソフト社が解決しようとしている問題そのもの——ドライバー、ユーティリティー、ハードウェアおよびソフトウェア構成の、無数にある組み合わせ——が原因だという意見もある。
マイクロソフト社としては、この問題はXPとは関係ないと主張している。グデイ氏は「ゼロ設定」に問題がないことは分かっているが、「この件に関する報告は歓迎する」と述べている。またサリバン氏は、XPの設定ユーティリティーをつねにオフにしてWi-Fi機器メーカーのソフトウェアを使うという対処法もあると述べている。
「ウィンドウズXPの自動設定によって、ワイヤレス導入費用が削減される」とサリバン氏。「設定が単純なので、ワイヤレス・ネットワークに関するヘルプデスクへの問い合わせも少なくなる」
だがフライシュマン氏によると、マイクロソフト社がこういった考えを抱くのは、ほとんどのXPユーザーが、この問題はマイクロソフト社のOSではなくWi-Fiカードのせいだと推測していることが原因かもしれないという。
「たぶんマイクロソフト社にはこの件に関しては技術サポートの問い合わせが来ていないのだろう」とフライシュマン氏は述べている。「問い合わせは機器メーカーに行っていると思ってほぼ間違いない」
フライシュマン氏によると、切れたWi-Fi接続を復旧させる方法はあるが、問題が起こるたびにXPの奥深くにある設定を扱う必要があるという。また、パソコンに詳しくないユーザーにOSの肝要な部分をいじらせたくないギルモア氏のような管理者にとって、この対処法は最悪なものかもしれない。
ギルモア氏をはじめとするネットワーク管理者には申し訳ないが、フライシュマン氏による回避方法を以下に示す。
「スタート」をクリックし、「コントロールパネル」を選択。
「コントロールパネル」ウィンドウで「管理ツール」をダブルクリック。
「サービス」をダブルクリック。左右に分割されたウィンドウが開く。
右側の枠内を下方向にスクロールして、「Wireless Zero Configuration」をダブルクリックし、「プロパティ」ウィンドウを表示。
「停止」ボタンをクリック。進行状況を示すダイアログボックスが表示される場合がある。
「開始」ボタンをクリック。ここでも、進行状況を示すダイアログボックスが表示される場合がある。
「サービス」ウィンドウを閉じる。この時点で接続が復旧しているはず、とフライシュマン氏は述べている。
[日本語版:高橋達男/高森郁哉]
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