2004年06月05日(土) 05時45分
<小6同級生殺害>「苦汁、絶望が私を支配」 加害女児HP(毎日新聞)
「元気してるか」。そう声をかけた父母に女児(11)は視線を合わさず、うなずくだけだった。長崎県佐世保市の小6同級生殺害事件で、加害者の両親は4日、長崎少年鑑別所で本人と面会した。外からは「普通」に見えた家庭で何が起きていたのか。
フェルトペンで色鮮やかなサルが描かれている。この正月、女児からかつて習った教師に年賀状が届いた。
<先生みたいに家族仲良くなりたいな>
女児は鑑別所で付添人弁護士に「(被害者の御手洗)怜美(さとみ)さん以外のことでもいらいらしたの?」と尋ねられ、「ありません」と答えた。しかし、弁護士は「事件の核心には触れようとしない」と受け止める。
近所の人たちは「仲のいい家族」と口をそろえる。休日には2キロほど離れたスーパーに車で女児と両親、姉の4人で日用品を買いに出かけた。自営業の父親は週に1、2度行くアルバイト先でも「温厚でまじめ」と歓迎された。
女児は時々、年下の女の子がいる近所の家で遊んだ。帰り際に「ありがとうございます」とあいさつする。周囲には「きちんとしつけられた礼儀正しい子」に映った。
女児が通った大久保小近くのバス停。きまって夕方5時前の便で帰宅した。「あそこの家は厳しかった」と同級生の一人は言う。女児は「お父さんが、決まり事はきちんと守れってうるさい」と打ち明けた。友達を連れて帰ると父親に「帰ってもらいなさい」としかられたこともあったという。
スーパーに勤める母は「てきぱきと働く」と評判が高い。女児を連れて職場に子供服を買いに来たことがある。この時、迷っている女児を見かねた母親が「はよう選ばんね」と、さっさと決めてしまったのを店員は覚えている。
女児は「親の言うことをきくいい子」を続けるのに疲れていったのだろうか。4年生の文集で自分の性格を「裏と表があるらしい」と書いた。5年生の2月には、自分のホームページで自作の詩を紹介している。
「苦汁、絶望、苦しみが私を支配する」(原文通り)。それでも「最後は起きあがるのもいいと思う」と書いた。本当は誰かに助けを求めたかったのかもしれない。
事件2日前の5月30日にあった大久保小の運動会。女児は母親と祖母と一緒に弁当を食べ、笑顔を見せた。この時、既に殺意を固めていた。(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040605-00000164-mai-soci