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2004年06月04日(金) 02時28分

6月4日付・読売社説(2)読売新聞

 [三菱自動車]「体質の抜本改革だけが社を救う」

 連続する不祥事は、これで最後にしなければなるまい。信頼回復のための体制作りを、急ぐべきだ。

 三菱自動車が、新たなリコール隠しを明らかにした。一九九二年から六年間に製造した十七車種、合計十六万台以上の乗用車の欠陥を隠していた。これとは別に、七車種十一万台のリコールも発表した。

 三菱製トラックの事故隠しやクラッチ部品の欠陥問題に続く不祥事だ。四年前のリコール隠しなどを含め、三菱自は問題発生のたびに、再発防止を誓ったはずだが、効果は薄かった。

 企業の存立さえ危ぶまれる中で、四月に就任した新経営陣の最大の責務は、こうした過去から決別することだ。

 今回の問題は、新経営陣のもとで、手つかずだった過去の期間の再調査を実施したことでわかった。隠されたウミを出し切ろうとするのは当然だ。これまでの三菱自には、こうした姿勢が決定的に欠けていた。

 三菱自は、先月まとめた経営再建計画で、副会長を外部から招き、法令順守を徹底させるための組織のトップに据えることを決めた。社外の有識者で作る企業倫理委員会なども発足させる。今後、さらに、検事経験者も招く方針という。

 外部からの人材登用は、ぬるま湯的な体質を改めるのに役立つはずだ。三菱自は、不祥事の再発防止が会社を救う唯一の道だ、と心得るべきである。

 三菱自は九七年に、総会屋に1000万円近い資金を提供する利益供与事件を起こした。二〇〇〇年には、七十六万台に上る乗用車のリコール隠しも明らかになり、社会から強い指弾を浴びた。

 三菱自は、事件が起きるたびに、社員が守るべき倫理規定を作るなど対策を打ち出してきた。だが、その後の経過を見れば、甘い対応だった。

 連続した不祥事は、すでに三菱自の経営を直撃している。五月の新車売り上げは、軽自動車を除くと前年同月比で五割以上のマイナスを記録した。

 消費者の“三菱自離れ”は、予想以上に進んでいる。経営陣は、対応を急がねばならない。

 三菱自は、四万五千人の従業員と数多くの納入業者を抱えている。これ以上、経営が揺らぐようなことがあれば、回復途上の景気にも影響を与えかねない。

 再建計画の作成にあたって、三菱重工業など三菱グループは、全面的な支援を表明している。資本提携関係にある独自動車大手、ダイムラー・クライスラーが手を引きかけている中で、三菱グループの支えが、これまで以上に必要だ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040603ig91.htm