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リコール隠しで企業存立の危機に立っている三菱自動車は二日夜、さらに乗用車部門でも十七車種、十七万台について欠陥がありながら隠していたことを認め、近くリコール届を出す、と発表した。
リコール隠しが何度にもわたって発覚し、ユーザーの信頼がどん底に落ちていた直後だけに、開いた口がふさがらない。
三菱自のここ十数年の社史は企業犯罪の歴史になってしまった。そのうち車体や部品の欠陥による事故発生やその欠陥をリコールとして届けなかった安全にかかわる事例だけでも二十件は下らない惨状である。
今回の乗用車などにかかわるリコール隠しは、ダイムラークライスラーの支援停止発表後、再生のために任命された新経営陣が「もうほかにはないだろうね」と指令して再調査した結果「やはりまだありました」と出てきたという。
存立の危機にある三菱自にとって「もう絶対ありません」と胸を張れる状態にすることが、再生のために避けて通れない試練である。
逆説的にいえば、今回のリコール隠しの発覚は同社再生への苦い良薬として評価できる。もし「ずいぶん前のことだから」と隠してしまっていたら、旧体質が温存されることにつながり、再生はあり得ない。
そうは言っても、三菱自の再生の前途は平たんな道ではない。あまりの法令無視、ユーザー軽視に怒った親会社三菱重工業の株主が三菱自への支援に「待った」をかける訴訟を提起する動きが出る、など難題は山積している。
自力では法律さえ守れないと悟った三菱自は検察出身の松田昇・預金保険機構理事長ら社外人を企業倫理委員に起用して、ご意見番になってもらい信頼回復を目指すという。
この種の社内委員会は従来、経営陣に妥協的な意見でお茶を濁すことが多い。それでは三菱自の再生はできない。他社より厳しい意見を出し、まだまだ世間にある法律を守れない企業に模範を示してほしい。
三菱自にとって、もっとも大切なことは再生の過程をすべて世間に知ってもらうよう、精いっぱいの企業情報を開示することだ。
人々は企業の内容、事情を深く知ることで理解も深める。内部告発を奨励する仕組みも他社に負けないよう整備することも重要である。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20040604/col_____sha_____003.shtml