2004年06月03日(木) 01時38分
三菱自のほぼ全車種リコール…新たに欠陥隠し判明(読売新聞)
三菱自動車(本社・東京都港区)は2日、同社の1992年—97年製の「ギャラン」「パジェロ」など乗用車17車種、計約15万6400台について、部品の欠陥を隠し、リコール(回収、無償交換)の届け出を怠っていたと発表した。
岡崎洋一郎会長兼社長が同日、記者会見して陳謝するとともに、近く、正式にリコールを国土交通省に届け出ることを明らかにした。リコール対策費用は約25億円。同社では、2000年に大規模な「リコール隠し事件」が発覚、運輸省(当時)の指導で計約76万台のリコールを届け出たが、事件以降は、「欠陥隠しは一切ない」としていた。
国交省では、新たに判明した欠陥隠しが、道路運送車両法違反にあたる可能性もあるとみて、調査に乗り出した。
今回、新たに判明した欠陥は、ギャランのエアバッグ部品やパジェロの燃料タンクの接続不良、など計26件。パトカーとして全国の警察に納入しているシグマでも、サスペンションの溶接不良があった。92年から97年の6年間に製造された乗用車のほぼ全車種が対象。一部の車種は、乗用車の全車種と大型車の一部が対象となった2000年の「リコール隠し事件」の対象とも重複しているという。
国内販売分のほか、海外に輸出した約7300台もリコールを届ける予定で、合計台数は16万3700台にのぼる。過去3年間に、不具合が原因による、人身、物損事故の発生は1件もないとしている。
欠陥隠しが明らかになったのは、今年5月に大型車のハブ欠陥事件を機に、国交省が命じた、リコール体制の再調査がきっかけ。同社で93年12月までさかのぼって調べたところ、当時、実施していた、販売店を通じて、ひそかに欠陥部品を交換する計92件の“ヤミ改修”のうち、26件はリコールが必要だったことが判明したという。
会見した岡崎会長は、新たに判明した欠陥隠しについて、「リコールをきちんと届け出なかったことは遺憾、今後、社内処分を検討したい」と謝罪。しかし、2000年のリコール隠し事件以降も、隠ぺい体質が続いていたことについては、「当時は98年までしか調査しなかったが、今回は記録が残る93年までさかのぼって調査した結果」と述べ、欠陥隠しの意図はなかったと弁解した。
2000年に発覚したリコール隠し事件では、当時の副社長ら4人が道路運送車両法違反(虚偽報告)に問われ、4人に罰金20万円、法人としての同社に罰金40万円の略式命令が確定している。
◆新たに公表された三菱製乗用車の主な欠陥・不具合の内容(かっこ内は年式)
▽パジェロ(98年)=燃料タンクのホース接続が不十分▽ディアマンテ(95年)=駐車ブレーキの作動不良▽ギャラン(97年)=助手席エアバッグ部品の気密性不良▽パジェロミニ(95年)=動力伝達装置の締め付け不足▽シグマ(92年)=前輪サスペンションの溶接不良▽ミニキャブ(96年)=変速機ケーブルの取り付け不良(読売新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040602-00000015-yom-soci