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■横 浜
「校外からの侵入者に気をつけていたが、校内でもこんな事件が起きるとは…。非常にショックです」。横浜市緑区のある学校長は、驚きを隠せない様子で話した。二日は開港記念日のため、横浜市内の全小中学校では児童・生徒は登校していない。三日、この問題を児童にどう伝えるか、考えはまとまらないという。
「『子どもたちのサインを見逃すな』と求められるが、校外での活動やパソコン、携帯電話など子どもたちの行動は多様化している。実際には、すべて把握していくのは難しい」と嘆いた。
一九九八年、栃木県黒磯市で中学生による女性教師刺殺事件が起きて以降、横浜市内の小学校では、はさみと彫刻刀以外は児童に所持させず、授業で必要な際に学校が渡すことにしているという。「個人的には児童の持ち物検査をしなければいけないと思う。人権の問題もあるが、そんなこと言ってられない」と校長。
横浜市教委によると、市内の小学校で児童同士の暴力行為は九八年度には七十六件に上ったが、年々少なくなり、二〇〇二年度は十五件。重傷を負うケースもなかったという。
「中学校になると八百件を超えるが、小学校では少ない。しかもほとんどが男児。女児では考えられない」と担当者は驚く。
「思春期では強く相手を憎むという心の揺れも生まれるが、子ども同士はトラブルの中から、いろいろ学んでいくもの」。こう話すのは、ある小学校の生徒指導担当の教諭。「いきなりこんな事件が起きるのは、子どものトラブルを大人が嫌がったり、バーチャルな世界に影響を受けて、自分や相手を大切に思う機会がなくなっているからでは」と分析する。
トラブルの原因になったともいわれるパソコンは、市内全小学校で教えている。高学年ではネットで調べものをしたり、地域の関係者にメールを送ったりもするという。
メールアドレスを与えていないため、授業ではインターネット全般を使いこなすことまでは教えないが、パソコン技術に詳しい児童も少なくない。市教委は「技術には詳しくても、小学生なので相手に対するマナーやルールは未熟。子どもがパソコンを使う際には、トラブルにならないように各家庭に呼び掛けている」としている。
■川 崎
川崎市教委は、事件を受けて特別な会合などを開く予定はないものの、今後校長会などの機会をとらえて、議題にとりあげたいとしている。
今回の事件では、カッターナイフが凶器となったとされる。同市教委によると、カッターナイフやカッターマットを授業で使う場合、児童に学校から貸与し、個人では持参させないようにしている学校もあるが、基本的には「必要がない物は学校に持ってこない」との原則に沿った範囲で指導しているという。
市教委では「コンパスの針でも、凶器になりうる。カッターナイフがいけないということより、人を傷つけないなど命について教育することが大切」としている。
■葉山 横須賀
葉山町教委では二日朝、高木太郎教育長が緊急に小学四校、中学二校の校長を招集。防止対策の指導徹底を要請した。
同町教委は(1)家庭と連携し、子どもの行動の把握に努める(2)生命の尊さについての指導(3)児童、生徒が学級集団から離れる場合は、担任教師に伝える指導の徹底(4)休み時間や部活動などで、教職員の目が行き届くよう工夫する(5)カッターナイフなどの危険物はよく観察し、所定場所への保管を徹底する−との事件防止対策に取り組むよう求めた。
事件を深刻に受け止めた校長らは、校長会招集前に開いた各学校での朝の打ち合わせで「生命の尊厳について教育指導の強化」を教職員に指示。担任教諭が、教室で悩みがあるときは相談するよう児童・生徒に呼び掛けた。
一方、横須賀、三浦市も各学校長にファクスで通知し、指導強化を指示した。横須賀、三浦市では同日朝、すべての公立学校長にあてた教育長の通知で、「命の大切さや他人を思いやる心をはぐくむ指導の強化、保護者への呼び掛けなど問題行動の未然防止への一層の努力」を要請した。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20040603/lcl_____kgw_____000.shtml