悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
「電話番号から住所が分かる。調べてお前の家に行くぞ」。携帯電話からこんな脅迫の声が流れる。でっち上げの債務の返済を迫る「架空請求」と似ているが、何かしらサイトに接続した覚えはあり、その日時を業者が正確に言う。不安になり、要求された数万円を指定の銀行口座に払ってしまった−。
総務省電気通信消費者相談センターには最近、こうした相談が数多く寄せられている。
始まりは、「写真見てみて!」などの言葉とサイトのアドレスが書かれた短いメール。サイトに接続すると「入口」のボタンが現れる。これを押すと、「入会した」として、数日以内に会費を振り込むよう求める画面になる。無視していたら、脅しの電話がかかってくることも…。
からくりはこうだ。SMSは電話番号あてにメールを送る。業者は手当たり次第にメールを送るが、そこに書いたサイトのアドレスの末尾に一通ずつ違う識別番号を付ける。サイトに接続すると識別番号の記録が残り、どの電話に割り振った識別番号かを照合すれば、接続した人の携帯番号が特定できる。
SMSは、基本的に同じ電話会社の携帯同士でしかやり取りできない。パソコンや他社の携帯ともやり取りでき、長い文章や画像も送れるインターネット経由のメールの方が利便性は高い。
問題となった「迷惑メール」も主にネット経由のメールだ。だが、利用者が自分で、記号や英数字を交えたアドレスに自由に変更できるなど「自己防衛」の手段が増えたほか、不特定多数への発信や希望しない消費者への再送信を禁じた迷惑メール防止法も一昨年七月に施行された。
しかし、SMSはあて先に電話番号を使うため、無作為に発信しても、実在の番号に届く可能性が高い。迷惑メール防止法の対象外であり、電話番号が分かれば「声」で脅せることなどから、悪質業者が目をつけたようだ。
総務省の同センターによると、今年一−三月に来た携帯電話などの不当料金請求の相談は千四百六十八件。最近は六−七割がSMSという。
同センターは「不審なメッセージに記載されたサイトには、不用意に接続しない」と呼びかけている。仮に入口ボタンを押してしまっても、勘違いで押した場合は、民法や電子消費者契約法に基づき、契約の無効が主張できるという。
携帯電話各社は、どう対応しているのか。NTTドコモの場合、SMSに書かれたサイトのアドレスは、押してもサイトに直接つながらない仕組みになっており、こうした被害は起こりにくい。ただ、同社は「監視はしている」と話す。
auを運営するKDDIによると、昨年七月から今年三月末までに、利用者からの情報に基づいて、SMSで迷惑メールを大量に送った六千二百三十四回線を六カ月の利用停止にした。ボーダフォンも、二月から四月末までに一万千六百六十一回線を六カ月の利用停止にした。ツーカーは「SMSの迷惑メールによる利用停止件数は集計していない」としている。
■被害の事例
消費生活センターに相談した20代の男性は先月中旬、メールに書かれたアドレスを1回押しただけで「入会手続き完了」と表示され、5日以内に2万4000円を銀行口座に振り込むよう求める文章が画面に現れた。
確認画面や利用規約がない上、男性に契約する意思がなかったため、同センターは「支払う必要はない。連絡を取る必要もない。脅しの電話が入っても契約の無効を主張して」と助言した。
本社生活部に相談してきた女性(22)は、先月上旬、夜遅くに届いたメールを友達からだと勘違いして操作すると、いつの間にか登録完了になり、10日以内に6万円を支払うよう求める画面が現れた。その後「法的手続きに移る」などと催促のメッセージが来たが、無視していたら来なくなったという。
「ちょっと恥ずかしいけどこんなの載せちゃった」。会社員の男性(19)の携帯電話に、女性の写真を見ることを誘うようなメッセージが届いたのは4月下旬だった。
サイトに接続し、画面に現れた女性の名前を押したが、女性の画像は現れず「クリックした時点で入会したとみなす。1週間以内に6万円を支払え」という内容の画面になった。手前の画面に戻って確かめると、気付きにくい位置に利用規約の入り口があり、規約には6万円という料金が書かれていた。
■メモ
ショートメッセージサービスは各社ごとに固有の呼び方がある。NTTドコモは「ショートメール」、au(KDDI)は「Cメール」、ボーダフォンは「スカイメール」、ツーカーは「スカイメッセージ」。ボーダフォンとツーカー間は、別会社だが送受信が可能。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040603/ftu_____kur_____001.shtml