悪のニュース記事

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2004年06月03日(木) 00時00分

確かなあした 後絶たぬ名義貸し詐欺 東京新聞

 「消費者金融のローンカードを作るだけで十万−二十万円もらえるバイトがある−とだまされ、高利の借金を抱えた」という訴えが本社生活部に寄せられた。消費者金融から借金させたり、架空の商品購入の代金をクレジットで払わせたりする詐欺的な「名義貸し」の被害が、後を絶たない。被害者救済に当たる弁護士らは、金融、信販会社の融資姿勢にも問題があると指摘している。 (間野 丈夫)

 「どうしてあんな話を信じちゃったんでしょう…」。被害に遭った四十代の女性は深いため息をついた。

 今年四月初め、勤め先に客として来ていた若い男性に「カードを作るだけで謝礼が十万−二十万円もらえる仕事だ」と誘われ、消費者金融四社でカードを作って渡し、暗証番号も教えた。

 男はもう一社要求してきた。女性が五社目に行くと、他社の借り入れ状況を調べた担当者から、「旅行に使う」という女性の借り入れ理由はおかしいと指摘された。男がカードを使い、勝手に四社から計八十万円を借りていたからだ。

 担当者に、三、四社目で借りた計二十万円の返済を約束すれば、契約すると言われ「これで二十万円を返して」と現金五十万円を渡された。女性は、そのまま男に渡したが、その直後、男と連絡が取れなくなった。

 女性は警察に相談したが、自分の意思でカードを作って渡したので被害者にはならない、と言われた。女性は自力で二十万円を二社に返済しており、三社百十万円の借金が残っている。

■福井事件

 福井県では二〇〇一年から〇二年にかけ、若者に「いいバイトがある」などと持ちかけて消費者金融から借金させ、だまし取る集団被害事件が二件発生した。救済をした弁護団によると、被害者の数は二件で計約百六十人、被害総額は計約二億八千万円に上った。

 第一の事件では昨年十一月、福井県警が、若者に高配当を約束して無許可で出資金を集めたとして、首謀者の男(43)を出資法違反の疑いで逮捕した。男は今年四月、福井地裁で実刑判決を受けた。弁護団は、消費者金融会社と、被害者が抱えた借金の減額交渉を進めた。被害者は二十代前半の男性が多く、合計百十六人に上った。

 第二の事件は、まだ警察が摘発していない。首謀者は三十代の男で、被害者はほとんどが若い女性。首謀者が直接、消費者金融のローンカードを管理し、勝手に現金を引き出すなど、冒頭の女性のケースと似ている。

 第二の事件で弁護団が減額交渉をしたのは四十一人。先月初め、被害者と金融会社との最後の和解が成立し、両事件の救済活動は終わった。「被害者は、残った元金の六割くらいを返済する(借金を四割減らす)ことで解決したケースが多い。消費者金融側も責任を感じたようです」と弁護団事務局の島田広さんは話す。

 こうした事件は、ここ数年全国的に多発している。被害者は契約意識が甘く「自分の名義で借りたお金は、返済義務がある」という認識がないところにつけ込まれる。

 消費者金融業界も被害防止の啓発活動に力を入れている。が、短期間で次々に借りる不審点を信用情報システムへの照会で見つけながら、そのまま貸してしまう−という業者の融資姿勢にも問題がありそうだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20040603/ftu_____kur_____000.shtml