2004年06月03日(木) 15時06分
三菱自の「ヤミ改修」、運輸省が実態調査怠る(読売新聞)
三菱自動車(昨年1月に商用車部門は三菱ふそうトラック・バスに分社)の欠陥車問題で、2000年に発覚した「リコール隠し事件」の際、同社が販売店を通じてひそかに実施していた“ヤミ改修”について、運輸省(現国土交通省)が実態調査を怠っていたことが3日、分かった。
同社では違法なヤミ改修を行う時には指示文書に不自然な「暗号」を残していたが、こうした手口も当時の運輸省はほとんど見過ごしていた可能性が強い。
運輸省は、2000年当時の立ち入り検査で、同社が隠していた、ユーザーや販売店から寄せられた不具合情報のほか、ヤミ改修も調査の対象としていた。
三菱は2日に行った記者会見で、2000年の立ち入り検査の際、ヤミ改修の実態について「当時、運輸省には報告書を出していた」と主張している。しかし関係者によると、報告資料は膨大なため、ヤミ改修については運輸省の係官から、「緊急に対策が必要な欠陥だけを抽出するように」などと指示された。この時、同社の品質保証部門の一存で、一部の重大な欠陥を意図的に抽出リストからはずしたという。
この結果、乗用車については、同社が2日に新たにリコール届け出を公表した欠陥26件、大型車についても2002年に山口県で死亡事故の原因となったクラッチ部品の欠陥について、それぞれ隠ぺいが続けられることになった。
隠ぺいに関与した当時の同社幹部は、「立ち入り検査で、これまで実施したすべてのヤミ改修を報告するよう求められれば応じていた」としており、運輸省の甘い姿勢が三菱自動車の不正続行を許した形だ。
一方で、三菱では当時、販売店にヤミ改修を指示する際、運輸省の立ち入り検査を受けても発覚しないよう、整備内容を記した指示文書の整理番号のわきに「星印」をつけ、改修の重要度を連絡していた。
同社によると、星印が一つの場合は、「定期点検の都度、改修を行う」。二つの場合は、より緊急性の高い欠陥の改修を指示する際に使われ、「可能な限りユーザーに来店を求め、改修を行う」という内容。連絡を受けた販売店では、ユーザーには無断で、ひそかに修理・交換を行っていた。
同社ではこのほかにも、運輸省の検査を欺くために「(H)(丸エッチ)」という暗号を使って、本社で管理している不具合情報を記載した商品情報連絡書を別管理して隠ぺいしていたことが、2000年のリコール隠し事件の際に判明している。(読売新聞)
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