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2004年06月02日(水) 23時12分

三菱自、乗用車も欠陥隠し 主力車種の大半「ヤミ改修」朝日新聞

 三菱自動車は2日、記者会見し、「パジェロ」や「ギャラン」など主力車種で計30件に上る欠陥について、国土交通省にリコール(無償回収・修理)を届け出ずに違法なヤミ改修を実施していた「リコール隠し」を明らかにした。同社は00年に大量のクレーム(不具合情報)隠しが発覚した際に旧運輸省にすべての情報を開示するよう求められたのにもかかわらず、26件についてはその後も公表せず、ヤミ改修も取りやめ、対策は放置されていた。同社は国内外合わせた17車種計約16万台について近くリコールを届け出る。

 同社が過去3年間について調べた限り、死傷事故や物損事故は起きていないというが、死傷事故が相次いだ大型車に続き、乗用車でも欠陥が隠蔽(いんぺい)、放置されていたことが明らかになったことで、同社の安全意識の低さが改めて問題視されそうだ。

 説明によると93年5月〜97年9月にかけて、ユーザーからの不具合情報や社内調査などの結果、乗用車に30件の欠陥があることがわかった。エンジン内部のオイル供給が不良になったり、ブレーキホースが破損したりする恐れがあるといった内容で、パジェロやギャランといった当時の主力車種から軽乗用車まで幅広く発生しており、パトカー用の乗用車も含まれていた。

 いずれもリコールが必要な欠陥だったが、同社は販売会社に対し、定期点検の際などに内密に修理する「ヤミ改修」を実施するよう指示した。このうち8件は、ユーザーからの苦情が寄せられる前に社内の試験などで欠陥が発覚していた。

 しかし、97年10月に富士重工業が、主力車種の「レガシィ」など11車種約150万台について、エンジンなどの欠陥をヤミ改修していたことが発覚。この直後、三菱自はヤミ改修中止を決めたという。その結果、改修されずに安全でない乗用車が走り続けることになった。

 三菱自では00年、内部告発によって大量のクレーム隠しが発覚。同社は60万台以上のリコールを届け出た。また、当時の幹部らと法人としての同社が道路運送車両法違反罪で略式起訴された。

 同社の説明では、この際には98年4月以降に発生した不具合しか調査していなかった。今回はコンピューターに記録が残っている93年以降について調査し、こうしたヤミ改修が分かったという。

 車の欠陥修理については、安全性や環境保全の観点から道路運送車両法で定める保安基準を満たさない場合のリコールのほか、保安基準は満たしているものの、安全性に問題のある場合の「改善対策」、安全性に問題はないが改修が必要な「サービスキャンペーン」がある。三菱自はヤミ改修をしていた93年5月〜97年9月の間、改善対策が必要な6件と、サービスキャンペーンが必要な56件についても、国交省に届け出ずにヤミ改修をしていた。

 国交省はこれらの不具合についても、三菱自に再度の検証を求め、リコールに該当すると判断すれば届け出を求める。

    ◇

 リコール制度には、欠陥を公表することによって広く注意を喚起する目的がある。このため、道路運送車両法はメーカーに対し、設計・製造段階における欠陥が見つかった際はリコールを届け出るよう義務づけ、内密に回収・修理を行った場合は罰則を定めている。

 国土交通省は今回明らかになった三菱自動車のリコール隠しが時効にあたらないかどうか精査したうえで対応を検討する方針だ。

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 〈三菱自動車〉 70年に三菱重工業から独立した国内4位の自動車メーカー。03年度の売上高は2兆5194億円、販売台数は約152万台。00年に独ダイムラークライスラーと提携、経営不振からの脱却をめざした。好転の兆しもあったが、米国市場での不振から再び低迷。三菱ふそうトラック・バスなどの不祥事が相次ぎ、04年4月にはダイムラーが追加支援を断念。三菱グループと民間ファンドの支援を受け5月、岡崎工場(愛知県)閉鎖などによる再建策を発表した。(06/02 23:01)

http://www.asahi.com/national/update/0602/035.html