2004年06月02日(水) 03時35分
三菱自、販売半減 不振「底見えぬ」 リストラ計画にも影響(産経新聞)
一日発表された五月の新車販売台数(日本自動車販売協会連合会調べ、軽自動車除く)で、三菱ふそうトラック・バスのリコール問題による販売への悪影響が懸念された三菱自動車は、前年同月比で半分以下の落ち込みに見舞われた。三菱グループなど四千七百億円の増資を含む経営再建計画で信頼回復を誓った同社だが、相次ぐ不祥事に消費者は三菱車に「ノー」を突きつけた格好だ。(樋口教行)
「これほど厳しいとは思わなかった」。五月の新車販売台数の数字をみた三菱自の中堅社員は絶句した。これまで「経営不振なのに危機感が薄い」(三菱グループ社員)と皮肉られた三菱自社員にも、消費者の拒否反応は衝撃的だった。
三十年に及ぶ顧客のクレーム情報を隠し続けて批判を浴びた四年前でも、その後の月間販売への影響は最大で前年同月比42・3%減(十三年五月)。だが、今回は56・3%減。減少は昨年十二月以来六カ月連続で、一月以降は前年同月比で33%、27%、18%、21%と二ケタの大幅減が続く。
軽を含む十六年度(四−五月)累計は三万九百六十四台で、富士重工の三万三千八百十五台に逆転され大手五社から転落。自動車業界全体でも、五月はいすゞ自動車などトラック専業にも抜かれて九位となった。
三菱自は再建計画で十六年度国内販売目標三十万台(含軽)を想定するが、このままでは二十万台も危ういペース。年度目標(同)三十万六千台を掲げる富士重工が「レガシィ」などで上昇気流にあるのとは対照的に、「底が見えない」(業界各社)。
このまま販売減に歯止めがかからなければ、岡崎工場の閉鎖による稼働率アップや、営業利益が生み出すキャッシュフローを設備投資や研究開発費に回す資金計画など、リストラ計画にも影響を及ぼすのは確実。
三菱自は再建計画策定にあたって、「パジェロ」など過去のヒット車をベースにした新モデル投入による販売増を前提にしており、足元の予想を超えた販売急落を織り込んではいない。今月末の株主総会後に発足する新経営陣は、市場の信頼回復に向け相当の覚悟を迫られそうだ。(産経新聞)
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