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2004年05月31日(月) 13時28分

警視庁の違法逮捕と認定 55万円の支払い命じる朝日新聞

 男に駅で突然殴られ取り押さえただけなのに、警視庁大崎署員に不当に逮捕されたとして、横浜市の会社員の男性(37)が東京都に300万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が31日、東京地裁であった。佐藤陽一裁判長は「要件を欠く違法な逮捕だった」などと認め、男性に55万円を支払うよう都に命じた。

 判決によると、会社員は00年7月8日午前0時過ぎ、JR山手線大崎駅のホームで初対面の男と肩がぶつかった。口論の最中、突然殴られて目の周辺を骨折。逃げた男を捕まえ、大崎署員に引き渡した。

 ところが、男が「自分も手を出された」と供述したため、会社員も暴行容疑で現行犯逮捕された。約40時間にわたって身柄を拘束された後釈放されたが、起訴はされなかった。一方、相手の男は傷害罪で略式起訴され、罰金刑が確定している。

 警察側は「現場に駆けつけた直後に現行犯逮捕した」と主張したが、判決は、逮捕の告知があったか疑わしいとし、3時間以上たってから署内で手錠をかけた点などをとらえ、現行犯逮捕が成立していないと認定した。

 また、「当時、男性は逃げたり身元を隠したりする行動はとっていない。嫌疑も比較的軽い暴行に過ぎず、証拠隠滅の可能性を論ずるのは非現実的だ」と指摘し、「要件を欠く違法な逮捕だ」と述べた。

 判決後、男性は「仕事を抱えながらの訴訟で厳しかったが、警察を許せない気持ちが強かった。今も、警察官を見ただけで恐ろしい気持ちになるトラウマが残っている。署員らは率直に反省してほしい」と述べた。

  ◇

〈細谷光広・警視庁訟務課長の話〉 当方の主張が認められず誠に遺憾だ。関係機関と協議し、控訴したい。

(05/31 11:33)

http://www.asahi.com/national/update/0531/013.html