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2004年05月27日(木) 21時29分

非公開捜査資料、弊害なければ民事に提出義務…最高裁読売新聞

 刑事裁判で公開されていない捜査資料を民事裁判の証拠に使えるかが争われた申し立てについて、最高裁第3小法廷は、却下する決定をした。決定は25日付。

 金谷利広裁判長は「使用目的や必要性の有無、関係者のプライバシーなどを考慮し、弊害がなければ、検察庁は捜査資料の提出を拒むことはできない」との判断を示した。そのうえで、今回は拒否できるケースだったと結論づけた。

 民事裁判に提出しなければならない文書は、2001年の民事訴訟法改正で対象が拡大。今回の決定は改正法に基づき、非公開の捜査資料について提出義務のある範囲を示した最高裁の初判断となった。基準が示されたことで、今後、刑事事件の加害者に賠償訴訟を起こす被害者らが、捜査資料を利用しやすくなる可能性もある。

 申し立てたのは、交通事故を装った保険金詐欺事件で、有罪が確定した静岡県内の男性。

 決定などによると、男性は、損害保険会社から損害賠償請求訴訟を起こされ、この訴訟に使用するためと称して、静岡地検が保管していた共犯者の供述調書を提出するよう、静岡地裁に申し立てた。同地裁は昨年6月、申し立てを却下したが、東京高裁は同8月、認めた。このため、同地検が最高裁に抗告した。

 第3小法廷は今回のケースについて、「(申し立ては)主に再審請求を有利に運ぶ目的」などと指摘、提出による弊害があると判断した。

 刑事裁判で公開された捜査資料については、被害者らに閲覧・コピーを認めるとした犯罪被害者保護法が、施行されている。(読売新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040527-00000112-yom-soci