2004年05月25日(火) 12時40分
<報償費流用訴訟>原田元警視長が「裏のシステム」証言(毎日新聞)
宮城県警の00年度捜査用報償費が裏金に流用されたとして、仙台市民オンブズマン(小野寺信一代表)が当時の県警会計課長らに約1950万円の返還を求めた訴訟の口頭弁論が25日、仙台地裁(信濃孝一裁判長)であった。元北海道警釧路方面本部長の原田宏二氏(66)=元警視長=が原告側証人として出廷し、裏金づくりは警察庁を含めた警察の「上から下まで染み渡った裏のシステムだ」と証言した。
原田氏は今年2月に実名で記者会見し、道警の組織的な裏金づくりの実態を告発した。北海道議会の参考人質疑でも証言したが、裁判所で証言するのは初めて。
原田氏は道警本部で警務課首席管理官や総務、警務課長を務めた85〜91年、警察庁から本部に出向してきた上司に交際費名目で一定額を裏金から毎月渡していたと証言。その上で、「異動者へのせんべつや内外の接待などを通して、上司らは裏金の存在を熟知していた。裏金は会計課が平常の業務と別ルートで処理し、キャリアなど上層部はもっぱら使う立場だった」と述べた。
原田氏はさらに、道警に在職した38年間の経験に基づき、「正規の捜査用報償費を正規の会計手続きで支払い、情報提供を受けるという意味での協力者は存在しなかった」「すべての捜査用報償費が裏金に回っていた」と明言した。
捜査用報償費を支出した捜査協力者が多数存在するという宮城県警の主張について、「(それが真実なら)捜査協力者の身の安全と、得られた情報を管理するシステムが必要だ。(仮に)警察庁や宮城県警にそのようなシステムがなく、現場への指導を行っていないのであれば、道警と同じく捜査協力者は一切存在せず、すべて裏金に回っていると判断せざるを得ない」と結論づけた。
【武内亮】(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040525-00001043-mai-soci