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2004年05月21日(金) 06時01分

クラッチ欠陥、ブレーキ利かず激突死 事故の詳細判明朝日新聞

 三菱自動車製の大型車の欠陥問題で、クラッチ系統の欠陥によって02年10月に山口県内で起きた死亡事故の詳細が、同県警高速隊の当時の調べからわかった。走行中にエンジンの動力を後輪に伝える「プロペラシャフト」が欠落し、インター出口へ抜ける急カーブでの振動が、ブレーキ配管の破損を加速させていた。この事故では、同県警は原因を特定できず、被疑者死亡のまま、運転手の男性(当時39)を道路交通法(安全運転義務)違反容疑で書類送検している。

 男性が運転していたのは、鹿児島県内の運送会社の9トン冷蔵車。野菜を積んで大阪、名古屋へ向かっていた02年10月19日深夜、山口県熊毛町(現在は周南市)の山陽自動車道熊毛インターを出て一般道へ入った直後、事故に遭った。

 関係者や当時の記録によると、プロペラシャフトの一部が脱落した後、車体側に残されたシャフトが振り子のような異常振動を始めた。料金所へ向かう急な下り坂のS字カーブに入った時、振動はさらに激しくなり、シャフトに並行して設置されているブレーキ配管が破壊され、制動不能に陥った。

 事故直後の実況見分で、熊毛インター手前約3.4キロの地点で、脱落したとみられるシャフトの一部が発見された。路面には、脱落時にできたとみられるくぼみもあった。

 通常、関西方面に向かう車が熊毛インターで降りることは少ない。運転手は何らかの異常を感じ、点検のため高速を降りようとしたのではないか、というのが県警の見方だった。

 暴走を始めたトラックは料金所を通り過ぎ、県道との合流点を突っ切り、道路脇の歩行者用地下道の入り口に激突した。

 冷蔵車は、三菱ふそうトラック・バスが20日の会見で、クラッチ系統に欠陥があったことを認めた車種。同社は、クラッチの金属製カバーが破損することで、シャフトの脱落が起きる不具合を公表した。

 県警は当時、シャフトの脱落が起きた原因を突き止めることができず、運転手を書類送検して捜査を終えていた。

(05/21 06:01)

http://www.asahi.com/national/update/0521/003.html