2004年05月21日(金) 00時00分
新手詐欺半年で42件 被害総額8千万円超(朝日新聞・)
警官名乗り「示談金振り込みを」 電話で警察官を名乗り、交通事故の示談金名目で金をだまし取る詐欺が県内で続発している。県警によると、昨年12月から同様の手口の詐欺が42件あり、被害総額は約8100万円に上るという。県警は新手の「オレオレ詐欺」とみて捜査するとともに、「警察が交通事故の示談に介入することはあり得ない。事故直後に現金が必要になることも絶対ない。振り込む前に本人に確認を」と注意を呼びかけている。
県西部の40歳代の女性宅に男の声で電話があったのは、18日昼過ぎのことだ。「警察の者です」と名乗ったうえで、夫の名前を挙げて「○○さんが交通事故を起こしました。相手の助手席にいた身重の奥さんが重体です」と告げた。
「ご主人は混乱していて話せない状態です。代わりに相手の方と話してもらえませんか」と「警察官」に促され、女性は「私がしっかりしなければ」と思った。
「被害者の男」から事故の状況を聞いた後「少し落ち着いたので」と「夫」が電話に出た。女性が「大丈夫よ。しっかりして」と声をかけると、「うん、うん」と涙声でうなずいた。動転していた女性の耳には、夫の声に聞こえた。
「警察官」が読み上げた示談書には、治療費、入院費、修理代、レッカー代、補償金など細かい項目ごとに費用が挙げられ、総額は511万5千円に上っていた。
夫はサラリーマン。女性もパートに出て家計を支えている。「もしもの時のために」とコツコツためていた貯金を銀行で引き出した。指定された口座に振り込んだ時には「夫を助けるために、私はここまでできるんだ」と充実感さえ感じた。
自宅に戻り、友人に電話した。「それは詐欺だよ」と言われ、血の気が引くのが分かった。
女性は日頃、新聞を隅から隅まで読んでいる。警察官を名乗る手口の詐欺があるのも知っていた。それでも、いざ電話で夫の名前を出され、交通事故で相手の命が危ないと告げられると、すっかり動揺し、信じ込んでしまった。
「もう悔しくて悔しくて……。これまではニュースを聞く度に『私は大丈夫』と思っていたのに。被害は誰にでも起こりうることを知ってほしい」と訴える。
県警捜査2課によると、今年県内で発生した「オレオレ詐欺」は16日までで170件、被害総額は約1億2千万円に上る。1年間で274件、被害総額1億1745万円余りだった昨年を大きく上回るペースだ。
(5/21)
http://mytown.asahi.com/shizuoka/news02.asp?kiji=10652
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